約 3,643,301 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/210.html
雑草だらけの部屋で眠る七匹の小さな紅白饅頭。 気持ちよく寝ているところに一人の男が声をかけた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ?」「ゆ!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 聞きなれない声に少し驚いたもののすぐに挨拶する赤ちゃんゆっくりたち。 その半分はまだ寝ているが。 しかしすぐにいくつかの疑問が生じる。 「おかあさんはどこ?」「ここどこ?」「おじさんだれ?」 このゆっくり達はここで生まれたゆっくりではない。 大木の洞に棲み、近くの虫や草花を食べて生活していたのだ。 まだ小さく、巣から一度も外に出たことない自分達が外に出られるわけもなく、母親が見捨てるわけもない。 「ここは育児場だよ。」 「いくじじょう?」「いいからおかさんはどこ?」 すると男はとても残念といった顔でうつむいてしまう。 それをゆっくりは不審に思い聞いてみる。 「おじさん、おかあさん…どこなの…?」 少しだけ声が震えてるのは気のせいではないだろう。 男ゆっくり、はっきりと答えた。 「お母さんはね、悪いれみりゃに食べられちゃったんだよ…。」 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!!」 「どお゛じでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 「おじざんのばがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「ででい゛っでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 まだ寝ていた赤ちゃんたちもその声に気づき叫ぶ。 「ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛びどぎら゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 「ゆ゛っぐり゛じん゛じゃえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 やれやれといった表情で男はその場を後にした。 泣き声はしばらく止まらなかった。 数十分後、男は大きなを持って部屋に入る。すると泣き疲れたのかほとんどのゆっくりは眠っていた。 起きていた内の一匹が顔をぐちゃぐちゃにしながら言う。 「ゆ゛っぐり゛…ででげぇ…」 どうやら説明したにもかかわらず男が食べたと思っているらしい。 またかと思いつつ男は言った。 「僕はね、君達のお母さんに頼まれたんだよ。『赤ちゃんを助けてて』って。 さあおなかがすいただろう?食べ物をあげるよ。」 「ゆ!たべもの!」「みんなたべものだよ!」 甘い匂いに気づいたものが寝ているものを起こし、全てのゆっくりが目を覚ました。 「おじさんそれなに?」「いいにおいだよ!あまいにおいだよ!」 「これは饅頭って言うんだよ。」 「まんじゅー?ゆっくりできる?」 「ああ、ゆっくりできるとも。」 そういって男は包み紙を外し、赤ちゃんゆっくりたちに与えた。 「うっめ!これめっちゃうっめ!」「むーしゃ♪むーしゃ♪」 「あー!それれいむの!れいむのなのー!!」「あまあまー♪」 「めー!とったらめー!めなんだからー!」 「そんなに取り合わなくてもいっぱいあるよ。ほおら。」 「おじさんありがとう!れいむたちのいえでゆっくりしていってね!!!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 どうやら自分を信用してるようだ。そう思いつつ男はゆっくりを見ていた。 数ヶ月後。 「「「おじさん!おそとにでたいよお!」」」 立派なゆっくりになったゆっくりたちは口々に叫ぶ。 この部屋には滑り台や砂場、水場、ジャングルジムにトランポリンもあったが次第に飽きてきたのだ。 「もっといろんなところにいきたいよ!」 「あたらしいおうちがほしいよ!」 「あたらしいおもちゃがほしいよ!」 「あたらしいおともだちとあそびたいいよ!」 「でも外は危ないぞ?何があるかわからないからな」 「だいじょうぶだよ!れいむたちはつよいんだから!!」 「「「つよいんだから!!!」」」 そうだなあ。もう充分かなあ。 「よし。おじさんに任せてくれ。おじさんがゆっくりさせてやるからな!」 「「「ゆっくり待ってるね!!!」」」 親切で優しくていい笑顔のおじさん、ゆっくりたちはそう思っているのだろう。 だがゆっくりたちはその裏を見抜くことができなかった。 「まずは君と君、それに君もだ。」 外に出る許可を貰ったゆっくりはきゃっきゃと楽しそうにはしゃいでいた。 「おそとでゆっくりあそぼうね!」 「れいむがおうちさがすね!」 「れいむもさがす!れいむもさがすのー!」 残されたゆっくりたちも不満を言わずにわくわくしていた。 「れいむたちをゆっくりまっててね!」 「あたらしいおうちでゆっくりさせてね!」 「みんなでいっしょにくらそうね!」 「またゆっくりあそぼうね!」 どのゆっくりも知らなかった。これからもう会えなくなるとは… 最初の三匹は給水用のストローがついた、ゆっくりサイズの回し車の中に一匹づつ入れられていた。 「おじさんせまいよ!でられないよ!」 「おそとにいかせてよ!」 「それはね車っていうんだよ。その中を走ると車も前に進むよ。 外にいる普通のゆっくりはそれを動かせて当たり前なんだよ」 「なあんだ!おしえくれてありがとう!ゆっくりまわしてすすむね!」 そう言って勢いよく回し始めるゆっくりたち。 「まわった!まわったよ!おそとにいけるよ!」 「でもぜんぜんすすまないよ!ぜんぜんうごかないよ!」 「がんばってもっとはやくまわそうね!」 だがゆっくりたちはその回し車の横が固定され、進むことができないことに気がつかなっかた。 …… あれから数時間、ゆっくりたちは疲れながらも時折ストローから砂糖水を吸っては回し続けていた。 「おじさん…これすすまないよ…」 「おかしいよ…こわれてるよお…」 「ふつうにはねておそとにでたいよ…」 「そんなことはないよ。だってちゃんとエネルギーは溜まってるからね。」 意味不明の答えに不満が爆発する。 「なにそれ!きいてないよ!どういうことなの!」 「おじさんきらいになっちゃうからね!」 「あやまってね!はやくあやまってね!」 にやにや笑う男に問うゆっくりたち。すると男は答えた。 「その車を回すとエネルギーができるんだよ。君達は死ぬまでそれを回して働くんだよ。」 エネルギーが何かはわからなかったがゆっくりたちには死ぬという言葉だけで充分だった。 「い゛や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!も゛う゛い゛や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「れ゛い゛む゛がえ゛る゛!!!お゛う゛ぢがえ゛る゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」 「ゆ゛っぐり゛じだい゛の゛!!!ゆ゛っぐり゛じだい゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 涙と鼻水でぐちゃぐちゃになる三匹。だが男はまたもにやにやして言う。 「そんなのんびりしてると…ほら、後ろ後ろ。」 振り返る三匹、壁が少しづつ上がりそこには… 「「「「う゛ー!う゛ー!う゛う゛う゛う゛う゛ーーーーー!!!!」」」 「「「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」」」 そこにいたのはこちらに近づこうとする大量のれみりゃ。 その恐ろしさを赤ちゃんのころから教えられていたためにゆっくりたちは急いで逃げようと車を回す。 「ゆ゛っぐり゛じだい゛!!ゆ゛っぐり゛ざぜでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 恐怖のせいかゆっくりたちはれみりゃが透明な車を回していることが、こちらに来ることができないとはわからなかった…。 そのころ… 「「「ゆっくりしてくるね!!!」」」 「ゆっくりいってらっしゃい!!!」 別の男に運ばれていく三匹のゆっくりたち。これらは先ほどと違う方向に向かっていった。 「ゆゆ?おじさんそっちじゃないよ!」 「みんながいったのははんたいだよ!」 「はやくもどってね!はやくもどってね!」 「大丈夫だよ。君達は特別だからこっちに行くんだよ。」 笑顔で答えるおじさんの答えにゆっくりは嬉しかった。 「とくべつ!れいむとくべつ!」 「わくわく♪わくわく♪」 「はやくいこうね!どんどんいこうね!」 大きな扉を開けた先には甘い香りが広がっていた。 「おまんじゅー!おまんじゅーだあ!」 「そうだよ。さあ!いっておいで!お饅頭がたくさんあるからね!」 そういってゆっくりをベルトコンベアの上に置く。 「「「おじさんありがとう!ゆっくりしてくるね!!!」」」 ゆっくりを見送る男の笑顔はゆっくりたちの見せた無垢なそれとは違っていた。 道の途中でシャワーを浴びる三匹。 しゃあああああ! 「「「ひんやりー!!!」」」」 自分の体が消毒されたのにも、そして横の壁が高くなるのにも気づかない。 そして巨大な穴へ迫っていった。 「ね!なにかきこえるよ!」 「ゆ!きこえるね!『ゆ!ゆ!』っていってるね!」 「おまんじゅーのにおいもするね!みんなでたべてるんだね!」 「「「いっせーの!それ!」」」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 わくわくした三匹は一緒に飛び込んでご挨拶、だが… 「ゆひゅ…ゆひゅ…」 「う゛ー?あ゛ー?」」 「ゆぐり…じでい゛っで…」 異常な温度の中で、ゆっくりたちの海で所々見えるそれを見て三匹は理解した。 「おま゛ん゛じゅ!!お゛ま゛ん゛じゅう゛がれ゛い゛む゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う!!!」 「どお゛じでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「お゛う゛ぢがえ゛る゛!!お゛う゛ぢがえ゛る゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」 やがて悲痛な叫びは聞こえなくなった。 そして最後の一匹は… 「ゆゆう…さびしいよお…」 たった一匹では何もすることはない。ぽつんと扉の前で待っていた。 ガチャリ! 「ゆゆ!」 ついに自分の番、そう思ったれいむは目を輝かせた。 ぼすん!ガチャリ! 何かを投げ込み、無情にも扉は閉まる。 「ゆゆ!あけて!あけて!おそといきたいの!」 叫んでも扉は開かず自分の声しか聞こえない。 そういえばさっき何か投げ込まれた。そう思ったれいむはそれに近づいていった。 「ゆっくりしていってね!!!」 投げ込まれたものがゆっくりだとわかり、ありったけの声で叫ぶれいむ。 「ゆう…ゆうう…」 「ゆゆ?どしたの?ゆっくりしないの?」 帽子を被り、目をとろんとさせたそれはれいむを確認すると襲い掛かった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 しばらくして数匹の子供が生まれることになる。 地球温暖化や食糧不足、エネルギー不足の中に突如発生の謎の生命体、ゆっくり。 初めはその異常な数と雑食性により人々は大いに苦しめられた。 しかし、現在はこのような有効利用法が見つかっているのだ。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2392.html
前 「ゆ~♪ ゆ~♪ かわいい~あかちゃん~♪」 「おかぁしゃんのおうちゃ、しゅごくゆっくちできりゅよ!」 「もっちょ! もっちょうちゃって!」 「今日はこれでおしまいだよ。ゆっくり寝てね!」 「わかっちゃよ!」 「おやちゅみなちゃい!」 産まれて来た赤ちゃん達。 れいむに似たおちびちゃん。 まりさに似たおちびちゃん。 思ってたとおり、すごくゆっくりした良い子達ばかりだよ。 眠ってしまった赤ちゃん達の顔を眺めながら、れいむは幸せに満ちていた。 まりさに捨てられた時は死ぬ事も考えたが、そのたびにお腹の中の赤ちゃんが動いた。 まだ生きたい。 外に出てゆっくりしたい。 お母さんとゆっくりしたい。 まるでそう訴えるように、何度も激しく胎動した。 れいむは結局死ぬことを諦め、赤ちゃんを産む決意を固めた。 この子達を産んで良かった。 死ななくて本当に良かった。 今なら心から、そう思う事が出来る。 赤ちゃんが産まれて、必要な餌の量は格段に増えた。 いつも朝早くに起きて、餌を取りに行かなければならない。 れいむは今、三箇所のゴミ集積所を回っていた。 日の空く事を考えると、一箇所で集まる量だけでは、とても家族全員の食料を賄いきれないのだ。 だが当然、後の方になるほど、他の生物とかち合う危険性が増える。 それでもれいむは、赤ちゃん達の存在を心の支えにして、危険の中を掻い潜っていた。 れいむは生ゴミの無い日に狩りもしていた。 土手を走り回って昆虫を捕まえ、川辺の小石の下からは川虫を捕まえる。 川岸に大きな魚が打ち上げられていた事もあった。 二日分に値する食料。 あれから毎日のように川岸をチェックしている。 だが残念な事に、今のところその姿はない。 れいむは公園にも通っていた。 最初は、まりさがいるかもと思い避けていたのだが、ご飯の事を考えると背に腹は変えられない。 公園の大きな木の下には、食べられる木の実が落ちているのだ。 いつも入り口から覗き込み、まりさがいない事を確認して中に入った。 ハトのおじさんには、よくお世話になった。 その場で食べずに持ち帰っているのだが、おじさんは気にしてはいないようだった。 ただ、最近もう一人の子が一緒じゃないねと言われた時、れいむは何故だかすごく悲しくなった。 今日は赤ちゃん達と、お家の前でゆっくりしよう。 そう考えたれいむは、一回り大きくなった赤ちゃん達を、巣の外へと連れ出した。 初めて見る外の風景に、赤ちゃん達は大はしゃぎ。 目の前に広がる世界を、思う存分跳ね回り堪能する。 ここなら、どれだけ跳ねても頭をぶつける心配はない。 ここなら、狭く低い天井等ありはしないのだから。 「おかぁしゃん! おかぁしゃん! ばったしゃん、ちゅかまえちゃよ!」 「おねぇしゃん、しゅご~い! しゅご~い!」 「まりさは狩りが上手だね。お母さんにも教えてね」 「ばったしゃんは、はにぇるから、とまっちぇるとき、はにぇればいいんりゃよ!」 「れいみゅもやりゅ! れいみゅもやりゅ!」 姉まりさを追いかけて、妹れいむも一緒にバッタを探し始める。 しばらくすると、ちゅかまえちゃたという元気な声が聞こえてきた。 今度は妹れいむが捕まえたようだ。 すぐ後から聞こえてくる、む~ちゃむ~ちゃちあわちぇ~という幸せの声。 そんな妹れいむの様子を見て、姉まりさは負けじとバッタを追い回す。 二人はまるで競うように、バッタを捕まえては口に運んでいった。 もうご飯が取れるなんて、ほかの赤ちゃんにはマネできないね。 きっとれいむの赤ちゃんが、ゆっくり一ゆっくりな赤ちゃんに違いないよ。 せいかくには、ほかの赤ちゃんの三倍はすごいよ。 れいむの餡子の中に広がる親馬鹿全開思考。 そんな幸せなゆっくり的物思いは、突然現れた人間の声によって破られた。 「見て見て! ゆっくりの赤ちゃんだ!」 「なにこれ、マジかわいいんですけど!」 そう口にした人間の行動は素早かった。三倍どころの話じゃなかった。 瞬きする間に、赤ちゃん達は人間の手の上に乗っかっている。 ああ、れいむは何て餡子脳なんだろう。 人間さんがこんなに近くまで来ているのに気づかなかった。 ゆっくりのゆっくりした性格を、今ほど恨んだ事はない。 ゆっくりした結果がこれだよ! 人間さんはやっぱり油断ならないよ! ちがうちがう、そうじゃないよ。今はそんな事考えてる場合じゃないよ。 赤ちゃん達を取り戻さないとね。今すぐにね。 れいむは人間から赤ちゃんを取り戻す決意を固めた。 「お、おお、おねーさん達! ゆっくり赤ちゃんをはなしてね! ゆっくりいそいではなしてね!」 「これって、どうすればいいの? ゆっくりすればいいの?」 「わかんないよね。不思議だよね」 「い、いいい、いいから、れいむに赤ちゃんかえしてね! 赤ちゃんいやがってるよ!」 「えっ? そうでもないよ?」 「むしろ、よろこんでるよ?」 「わぁ~い、おちょらをちょんでりゅみちゃ~い♪」 「ゆ~ん、しゅごきゅちゃかいよ~♪」 「どぼぢでよろごんでるのおおぉおおおお!?」 白目を剥き叫びながらも、れいむはゆっくりと理解していた。 ああ、赤ちゃん達は嬉しいのだ。 自分達の届かない視点から見える世界を、ただ純粋に喜んでるだけなのだ。 きっと自分だって、大はしゃぎしてしまうに違いない。 だってあんなに高い場所にいるのだから。 それがゆっくりの生き様だよね。 そう考えると、何だか赤ちゃん達が羨ましくもある。 思っていたほど悪い人間ではないのかも知れない。 「ゆぅ……おねーさん達は、ゆっくりできる人なの?」 「よくわからないけど、ゆっくりできるよ」 「うん、ゆっくりできるよね。よくわからないけど」 よくわからないのはこっちだよとも思ったが、うかつに喋って人間を怒らせるわけにはいかない。 今のところ、赤ちゃんに害を与える様子はない。 ひょっとすると、本当にゆっくりできる人間なのかも知れない。 せっかくだから、少し赤ちゃんと遊んでもらおうか? 気がすめば帰るだろう。れいむはそう考えた。 「ゆっ! れいむ、ゆっくり理解したよ。いじめないなら、赤ちゃんとゆっくりしてもいいよ!」 「やった~! 私、この赤いリボンの子もらうね」 「じゃあ黒い帽子のまりさは、私が持って帰るね」 「どぼぢでもっでがえるのおおおぉおおおおおおおお!?」 本日二度目の白目を剥き、れいむはただただ絶叫した。 何を言ってるの? 馬鹿なの? この人間達は馬鹿なの? 会話になってないよ。ぜんぜん会話になってないよ。 もうお家に帰って寝ちゃいたいよ。 でも、赤ちゃんは置いてはいけないよ。 れいむ頑張るよ。お母さんだから頑張るよ。 れいむは最後の気力を振り絞り、人間達に訴えかける。 「お、おおお、おねーさん達! 赤ちゃんはれいむの赤ちゃんなんだよ? ゆっくりするなら、れいむの前でゆっくりしてね!」 「えー、でもうちって大きいゆっくりは飼えないし」 「うちはお父さんがれいむアレルギーでちょっと……」 「どぼぢでれ゛いぶまでいぐごどにな゛っでるのおおおおぉおおお!?」 三度目の絶叫で、れいむは自分の中にある餡子を見た気がした。 もうこの人間達と話すのは嫌だよ。 ハトのおじさんはこんなじゃなかったよ。 まりさのとこのお兄さんはこんなじゃなかったよ。 だいたい人間と一緒じゃゆっくり出来ないよ。 しかし、れいむは知っていた。 この世界で本当にゆっくり出来るゆっくり。 それは人間に飼われているゆっくりなのだ。 人間に満ちたこの世界で、他にゆっくりがゆっくり出来る場所などない。 自由はゆっくりをゆっくりさせない。 れいむは赤ちゃん達にゆっくりして欲しかった。 れいむも本当はわかってるんだよ。 人間に可愛がられてるゆっくりは、すごくゆっくり出来るよ。 あんなだったけど、まりさはすごくゆっくり出来てたよ。 公園で見たゆっくりも、みんなすごくゆっくり出来てたよ。 おねーさん達と一緒に行けば、赤ちゃん達もすごくゆっくり出来るのかな? 「あ、あのね? おねーさん達……本当に赤ちゃんを可愛がってくれるの……?」 「うん! ちょうど、ゆっくり飼いたいって話してたから!」 「うちも、まりさなら大丈夫。れいむは無理だけどね」 れいむはこっそりと赤ちゃん達の様子を窺い見る。 はしゃぎ疲れてしまったのだろう。 白目を剥き続けた親の気苦労も知らず、赤ちゃん達は手の平の上でぐっすりと眠っている。 ゆ~ん、赤ちゃん達、すごくゆっくりしてるよ。 まるで、れいむの側でゆっくりしてる時みたいだね。 赤ちゃん達、そこですごくゆっくり出来るんだよね? おねーさん達と一緒なら、すごくゆっくり出来るんだよね? これまでみた人間と飼いゆっくりの姿を、れいむはもう一度強く思い返した。 人間は飼いゆっくりに優しかった。 人間はすごく美味しいご飯を作る事が出来た。 人間は暖かい家に住み、そこはまさにゆっくりプレイスだった。 飼いゆっくりはどれも美しかった。 飼いゆっくりはだれもが健康そのものだった。 飼いゆっくりはどんな時も、幸せに包まれた顔をしていた。 飼いゆっくりじゃない自分の子達が、飼いゆっくりになれるかも知れない。 母親として、これ以上してやれる事はないはずだ。 れいむは餡子を吐く思いで、その言葉を唇で紡いだ。 「おねーさん達……赤ちゃんね……連れてってもいいよ……」 「本当にいいの?」 「お母さんはダメだよ?」 「れいむは一人でもゆっくり出来るよ! だから気にしないでいいよ!」 一緒に行けるものなら、れいむも赤ちゃん達と一緒に行きたかった。 だがれいむは理解している。この女の子達が必要としているのは、れいむの赤ちゃんだけなのだ。 れいむは赤ちゃん達の幸せを、自分の我侭で壊したくなかった。 れいむに似た赤ちゃん、れいむよりずっと可愛くなれるよ。良かったね。 まりさに似た赤ちゃん、まりさみたいに綺麗になってね。でも性格は似ないでね。 れいむは心の中で、赤ちゃん達とのお別れを済ませた。 ぐっすりと眠っているうちに行ってもらいたかった。 目を覚ました赤ちゃん達とお別れするのは辛かった。 「おねーさん達、赤ちゃん達が起きないうちに、ゆっくりしないでおうち帰ってね! 赤ちゃん達とゆっくりしてね!」 「うん、ゆっくりするよー」 「ありがとねー」 「ゆっくりしてね!」 手の平に赤ちゃんを乗せたまま、女の子達が去っていく。 遠ざかる二人の楽しげなお喋りが、れいむのところまで聞こえてくる。 赤ちゃんの声は聞こえてこない。まだ眠っているのだろう。 起きたられいむがいなくて泣いちゃうかな? それともすぐに忘れちゃうのかな? 今更考えても仕方のない事だ。 未練を振り切るかのように、れいむは身体をブルブルと震わせた。 不思議と涙は出てこなかった。 れいむのゆっくりは、もうほとんど残されていない。 赤ちゃん達と一緒に、身体の中から大切な餡子が転がり落ちてしまった。 れいむはたまに、そう感じる事がある。 ぽっかりと空いた空洞を埋めるように、れいむは以前と同じ生活を続けていた。 身体が赤ちゃんのいた頃と同じ生活リズムを求めている。 今日も朝早くに目が覚めた。ご飯を取りに行かなくてはならない。 本当のところ、ご飯なんて充分に残っている。文字通り腐る程ある。 それでも三箇所の餌場を、以前と同じコースで回る。 一つ目の餌場に着いた。 今日はごちそうの日らしい。 まだ半分近く残った人間のお弁当が、無造作に捨てられている。 もう持ち帰る必要は無い。そのまま、もそもそと身体の中に収める。 二つ目の餌場に着いた。 いつもと変わり映えのない風景だ。 近づいてみると、骨だけになった魚が転がっている。 空っぽの眼窩がこちら見ている気がする。これは犬さんにでもあげよう。 三つ目の餌場に着いた。 そこには先客の姿があった。野良ゆっくりだ。 れいむはもう食べたからいらないよ。ゆっくりしていってね。 心の中でそう呟き、ゆっくりと餌場に背を向ける。 「れ、れいむ! やっぱり、れいむなんだぜ!」 聞き覚えのある声だ。誰だっただろう? れいむがゆっくりと餌場に振り返る。 先ほどの野良ゆっくりが、こちらへと跳ねてくる。 それは変わり果てたまりさの姿だった。 これは本当に、あのまりさなのだろうか? れいむは唖然としながら、目の前のゆっくりに目を走らせた。 真っ黒な帽子は皺だらけで、鍔が所々欠けている。 得体の知れないゴミの絡まった髪の毛は、脂ぎって土色に変色している。 肌はカサカサに乾燥し、今にもヒビ割れてしまいそうだ。 頬はゲッソリと痩せこけて、眼窩が暗く窪んでいる。 満足に食事や睡眠が取れてないのかも知れない。 「あまりジロジロみられると、てれるんだぜ~」 照れているつもりなのか、身体をくねくねと左右に揺らしている。 なんと醜悪なゆっくりなんだろう。 まりさは自分を捨てた最低なゆっくりだ。 だが、その美しさだけは本物だった。 赤ちゃんにまりさの面影を見た時、密かに感謝をしたくらいだ。 そのまりさが目の前のゆっくりだなんて、れいむにはすぐに信じる事が出来なかった。 「本当にまりさなの?」 「まりさにきまってるんだぜ! うたがうなんてひどいんだぜ!」 疑うなと言う方に無理がある。 似ても似つかないその姿は、そこらの野良ゆっくりの方がまだマシだ。 だが、やはりこのゆっくりは、まりさなのだろう。 このどうでもいい性格が、これはまりさだとれいむに訴えかけている。 「……仮にまりさだとして、まりさはれいむに何の用なの?」 「れいむ~、まりさをたすけてほしいんだぜ~。こまってるんだぜ~」 「どうして、れいむが助けないといけないの? 助けて欲しい時に捨てたクセに? 馬鹿なの? 死ぬの?」 「そんなつめたいこといわないでほしいんだぜ~。こうなったのには、れいむにだってせきにんはあるんだぜ~」 「聞き捨てならないよ。ゆっくり説明してね!」 頬に空気を溜め込んで、身体を大きく膨らませ威嚇してみせるが、本当は怒ってなどいない。 そんな気力はとうに失せていた。 ただ、まりさがこうなった理由にだけは興味があった。 叱られた子供のように、まりさがその身に起こった事をぽつぽつと語り始める。 れいむに会うため、毎日のように公園に通っていたまりさ。 ただし、いつもお兄さんと来ていたわけではない。 まりさはお兄さんの目を盗み、一人で公園に来る事もあった。 これは、れいむも承知していた事だ。 愛ゆえの行動だと、バカバカしいほどに信じていた。 だがまりさは、あれで外に遊びに行く味を占めていたらしい。 れいむを捨てた後も、まりさは家を抜け出していた。 初めはこっそりと、公園で他の飼いゆっくりと遊ぶ程度だった。 しかし仲の良いゆっくりが出来ると、少しでも長く一緒にゆっくりしていたくなる。 ある日まりさは、お兄さんの帰宅時間も忘れて、ゆっくりし過ぎてしまった。 慌てて家に戻ると、そこには、すでに帰宅しているお兄さんの姿がある。 必死になって謝りながらも、怒られる、もう外で遊ばせてもらえない、まりさはそう思い困り果てた。 だが、お兄さんは優しかった。愚かしいほどに優しかった。 冒険したい年頃なのだろうと思い、楽しかったかい? お友達が出来て良かったね等と優しい言葉をかけてしまった。 これが、まりさの増長を招いた。 お兄さんが家にいる間でも、堂々と外で遊べる。 好きなだけ外でゆっくり出来る。 怒られないのだから問題ない。 まりさはそう理解した。 まりさの行動は、徐々にエスカレートしていく。 お兄さんの帰宅時間との兼ね合いで、これまで近所の公園までだった行動範囲。 しかし自由を手に入れた今、まりさを縛るものはない。 他の飼いゆっくりの家に押しかけ、心ゆくまでゆっくりする。 まりさは飼い主が留守になる事の多い飼いゆっくりを狙った。 飼い主がいなければ、何をしたって咎められる事はないからだ。 そう、好きなだけ、すっきりが出来る。 まりさは普段、れいむの事を思い出したりしなかったが、すっきりの記憶だけは何度も反芻していた。 れいむとしたすっきりは最高に気持がちよかった。 薄汚い野良ゆっくりとのすっきりでも、あの恍惚感が得られるのだ。 自分と同じ飼いゆっくりとなら、もっとすごいすっきりが出来るだろう。 まりさはそう考えると、居ても立っても、すっきりしたくて堪らなかった。 だが公園ですっきりしようとすると、相手の飼い主に怒られてしまう。 なら、どうすればいい? 答えは簡単だ。飼い主のいない時にすっきりすればいい。 しばらくすると、まりさは複数の飼いゆっくりと、すっきり関係を持つようになっていた。 1日に1すっきりは当たり前。多い日は3人以上とすっきりする事もあった。 当然、帰宅時間は遅くなる。夜半過ぎまで家に帰らない事もあった。 それでもお兄さんは怒らなかった。 まりさが家に帰らない日があっても、お兄さんは怒らなかった。 だが、そんなまりさのすっきり生活も、ある日終焉を迎える事になる。 相手の飼いゆっくりの一人が、にんっしんしてしまったのだ。 れいむの場合は野良ゆっくりだった。 しかし今回は飼い主のいる飼いゆっくり。 怒りが有頂天な飼い主が、お兄さんの家に怒鳴り込んできた。 ひたすら平謝りさせられた挙句、ごっそりと養育費まで取られたお兄さん。 ここまで来ると、さすがのお兄さんも、自分がどんなに馬鹿だったのか気がつく。 まりさを見つめるお兄さんの目は、冷たい輝きに満ちていた。 その時、まりさは言葉ではなく本能で理解する。 このままここにいたら殺される。 まりさは唯一の出口を塞がれる前に、お兄さんの家から逃げ出した。 自分に都合の悪い箇所を端折りながら、まりさはれいむに説明した。 つまりは殆ど端折られた。 れいむが知ったのは、公園に行き過ぎたせいでお兄さんに殺されそうになり、まりさが家を飛び出した事くらいだ。 「おうちに帰れば?」 「そ、そんなことしたらころされるんだぜ! まりさはまだしにたくないんだぜ!」 「じゃあ、まりさはどうしたいの?」 「れいむにたすけてほしいんだぜ~。そうだ! まりさがれいむのおうちにすんであげるんだぜ!」 どこをどうすれば、この発想に辿りつくのだろう? まりさは自分を置いて行った時の事を、まったく覚えてないのだろうか? 実際、まりさはろくに覚えていなかったが、呆れ返ったれいむには、かける言葉が見つからなかった。 「はやくれいむのおうちにあんないするんだぜ! ふたりでゆっくりするんだぜ!」 「まりさは本当に馬鹿なの?」 「そんなことないんだぜ! ゆっくりかんがえたけっかがこれなんだぜ!」 ああ、やっぱり馬鹿なんだ。 れいむはこんなのに餡子をときめかせた事のある自分が、心底嫌になってきた。 このまま、まりさを振り切って、巣に帰る事は出来るだろう。 まりさの身体はボロボロだ。とても自分に追いつけるとは思えない。 だが、しかし……自分が捨てれば、まりさは多分、いや必ず死んでしまう。 別に死んでもかまわないのだが、れいむにはそれすらも、どうでもいい事に思えた。 どうせ巣は空いているのだ。 赤ちゃん達が去ってから、巣の中はれいむ一人で住むには広すぎた。 まりさが一人増えたくらいで、どうとなるものでもない。 なら、まりさがいれば、赤ちゃん達を失った悲しみが埋まるのだろうか? そんな事、考えるまでもない。 まりさはまりさだ。最低なゲスゆっくりだ。 赤ちゃん達の欠片にも値しないだろう。 だが、それでも……れいむは、まりさを巣に連れ帰る事にした。 「わかったよ。れいむのお家で勝手に住めばいいよ」 「さすが、れいむなんだぜ! あいしてるんだぜ!」 大喜びで、れいむの周りを跳ね回るまりさ。 その姿を見て、れいむは何も感じなかった。 まりさとの生活が始まった。 まりさは当然のようにれいむが持ってきたご飯を食べると、当然のようにどこかへ遊びに行った。 まりさがどこに行くのか、れいむは全く気にならなかった。 暗くなると、まりさは巣に帰ってきた。 そしてれいむの取っておいたご飯を当然のように食べると、当然のようにすっきりを求めてきたが、それは丁重にお断りした。 まりさとすっきりすれば、また赤ちゃんが出来るだろう。 可愛い赤ちゃん。 でもそれは、今頃人間の家でゆっくりしてる、あの赤ちゃん達ではない。 れいむの思考は、ゆっくり成らざる物へと変化していた。 れいむにはゆっくり出来る物が残っていなかった。 ある日、れいむが巣に戻ってくると、そこにはまりさともう一人のゆっくりがいた。 だらしない表情をしたまりさが、そのゆっくりに擦り寄っている。 初めて見るゆっくりなのに、その名前が何故かれいむの頭に浮かんできた。 あれは、ぱちゅりーだ。 「どうしたの、まりさ? 何でぱちゅりーがいるの?」 「ぱちゅりーはいえがなくてこまってたんだぜ。だからまりさのおうちにしょうたいしたんだぜ!」 いつの間にか、この巣はまりさのお家になっていたらしい。 大方このぱちゅりーは、まりさがすっきり相手として連れ帰って来たのだろう。 毎晩お断りしてたから、まりさはすっきりしたくて堪らなかったに違いない。 れいむはそう考えたが、怒りはどこからも沸いて来なかった。 陶器人形のような表情で、目の前にいる二人を眺める。 「ところでれいむ。ごはんはまだかなんだぜ?」 「ご飯? ご飯はこれでも食べるといいよ」 れいむは頬にしまっていたご飯をペッと吐き出す。 さっき巣の前で何となく捕まえたバッタだ。 何となく捕まったばっかりに、バッタはまりさに食べられてしまう。 目の前のバッタを見て、れいむはバッタと自分のどちらがついてないのだろう? などと考えていた。 「ちょっとまつんだぜ、れいむ。これじゃはらのたしにもならないんだぜ!」 「じゃあ自分で取ってくれば?」 「まりさよりれいむのほうが、かりがうまいんだぜ! それにまりさはいっかのだいこくばしらだから、どしんとかまえておくべきなんだぜ!」 一家の大黒柱。れいむの親まりさは、まさにそう呼ぶべき存在だった。 自ら先頭に立ち家族を支え、そして真っ先に人間に捕まった。 それに比べて、この新たな自称大黒柱は、何と頼りない事だろう。 この巣の中には何も残っていない。れいむの中にも何一つ残っていない。 れいむはゆっくりと巣を後にしようと二人に背を向けた。 「やっといくきになったかなんだぜ! びょうじゃくせっていのぱちゅりーのぶんもたのむんだぜ!」 「むっきゅう、じびょうのぜんそくがつらいわ」 「何言ってるの? れいむはご飯を持って来ないよ。ゆっくり理解してね」 「れいむこそ、なにいってるんだぜ? ごはんをもってこないなら、れいむはこのいえにすむしかくがないんだぜ!」 「それでいいよ。そのお家は二人にあげるから、勝手に使ってね」 れいむは巣の外に出た。 綺麗な夕日が空を赤く染めていた。 後ろの巣穴から、まりさが自分を呼ぶ声が聞こえる。 その声が、れいむのすぐ後ろまで近づいてくる。 「れいむ! さっさと、ごはんもってくるんだぜ!」 ポスンとひどく呆気ない音がして、れいむはまりさに突き飛ばされていた。 土手は傾斜だ。れいむの丸い身体が土手を転がり落ちていく。 この先には川が流れている。 ずっと住んでいた巣の前である。 れいむは誰よりも先に、自分に迫っている危機を感じ取っていた。 足に力を入れれば、今なら方向を変える事も出来るだろう。 だが、れいむは、このままでいいと思った。 最初に家族を失った。これは人間が連れて行ったせいだ。 その次に人間に飼われていたまりさを失った。これは赤ちゃんが出来たせいだ。 赤ちゃんを失った。これは自分のせいだ。 自分が良かれと思い決断したせいだ。 だが、これだけは誇りに思っていいはずだ。 赤ちゃん達は人間とゆっくりし、立派なゆっくりに成長するだろう。 失った物は多いが、自分は未来の幸せを得る事が出来た。 赤ちゃん達、ゆっくりしてるかな? れいむの意識が水に溶けた。 ここは静かな森の中──ではなく、都心に程近いベッドタウンの一画。 川原の土手に掘られた巣の中に、あるゆっくりの家族が住んでいた。 まりさとぱちゅりー二人きり。子供はまだいないが、ぱちゅりーの頭には茎がはえていた。 きっと後数日もすれば、可愛い赤ちゃんが産まれるだろう。 だが、二人にそんな時間は残されていなかった。 「わんわんわん!」 「い、いいいぬさん、やめるんだぜ! たべるんなら、ぱちゅりーのほうをたべるんだぜぇえええ!」 「むっきゅううぅうう!! ま゛りざなに゛いっでるのおおぉおおおお!?」 土手でゆっくりを見つけた犬さんことポチはこう考えた。 後ろの奴は何だか動きがにぶそうだ。まずはこのよく動く方を何とかしよう。 ポチの中で野生が弾けた。 逃げるまりさに飛び掛り、そのまま上から地面に押さえ込む。 これで相手は簡単に逃げられない。 今度は両手の爪をしっかり食い込ませ、動く気力を削いでおく。 「やべるんだぜえぇええ!! ま゛りざはおいじぐないんだぜえぇええええ!!」 何やら叫んでいるが、ポチにはそんなこと関係ない。 帽子が取れてガラ空きになった頭頂を一齧り、二齧り。 抉られた傷痕から、真っ黒な餡子が噴出する。 「ま゛りざのあ゛だま゛があ゛あぁあああああ!!」 あまりの痛みに、まりさはポチの抱擁の中で暴れた。 こいつ動くぞ! ポチはゆっくりのポテンシャルに戦慄した。 しかし、こちらが優勢なのに変わりはない。ポチは負けじと、そのまま頭に齧り付く。 饅頭の皮だけあって、あまり噛み応えがない。じじぃのくれる犬用ガムの方がまだ気合いが入っている。 噛んでは千切り、噛んでは千切り、後頭部の餡子を剥き出しにしていく。 顔面だけ残し抉り取った所で、やっとまりさの動きが止まった。 「ゆ゛っ……ゆ゛っ……ゆ゛っ……」 「わんわんわん!」 どうやらまだ生きているらしい。驚いたポチは、念のためにもう二齧りし、まりさの息の根を完全に止めた。 次のターゲットは、白目を剥いてガクガク震えてるぱちゅりーだ。 ポチは相手がまだそこに突っ立ってた事を犬の神様に感謝した。 一気に間合いを詰め、まずは頭上をふらふら揺れている茎を噛み千切る。 「ぱぢゅり゛ぃのあがぢゃんがあぁああああ!!」 思ったとおりだ。もう一匹になかったアレは、何やら大切な物だったらしい。 これで勝つるわん! ポチは勝利を確信し、微動だにしない相手の顔面に齧り付く。 その時、ポチに電流走る。 さっきのと味が違う! うっめ! めっちゃうっめこっち! じじぃのめしよりよっぽどうめぇ! パネぇわんわんわん。 ポチはガツガツとぱちゅりーに貪り付いた。まさに犬食いである。 だが、そんなポチの幸せも、長くは続かなかった。 「ぽーち、ぽーち! まったくポチは足が速いのぉ。ワシを置いていかないでおくれ──ってナニ食っとんのじゃあああああ!!」 「きゅうぅん……」 飼い犬を放して散歩させるという暴挙をしでかしていた飼い主が、ゆっくりを貪り食うポチを発見したのだ。 ポチは頭をペシペシ叩かれて、思わず尻尾をクルっと丸める。反省の合図だ。 これを見た飼い主はポチを撫でると、ふぅと大きくため息をついた。 「久しぶり散歩コースをもどした結果がゆっくりじゃよ! ポチ帰るぞ! そんなもん食ったら腹壊すだろうに」 「わんわんわん!」 一人と一匹が土手を後にする。 後にはただ静寂とゆっくりの屍だけが残された。 おわり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3487.html
ゆっくり虐待スレ92の 943氏のレス 943 :名無したんはエロカワイイ:2009/02/04(水) 11 42 51 ID 6HHpK7Xu0 人間が衛生的な生活を営めるようになってからだよな。そういう症状が出てきたの ゆっくりも飼いゆっくりとなって清潔な生活をしているとなったりして。 そういう設定だと二代目飼いゆっくり以降は酷そうだ からネタを頂きました。 ある日、夕方に強い通り雨があって水溜りこそないものの風が強かったこともあり、 アーケードなど屋根があっても屋外だったら濡れていない場所は無いほど地面は水浸しになった。 私は事前に天気予報で知っていたため、折り畳み傘は携帯していた。 天気予報のお姉さんにはお世話になりっぱなしだなぁ。 そんなことを考えていたら雨がやんだようだ。傘をきちんと畳んで鞄にしまう。 私は今帰宅途中でもうすぐ家に着く。その時、屋根付のバス停にあるベンチの下に 何かが丸まっているのを見つけた。 猫が雨宿りでもしているのかなと、猫好きの私は屈んでベンチの下を覗き込んだ。 そこにいたのは猫などではなく、ゆっくりだった。 片方は黒い帽子に金色の髪の毛のゆっくりで、もう片方は黒い髪に紅白の大きなリボンが よく映えていた。確かそれぞれ、まりさ、れいむという名前だったかな? その二匹は寄り添うように目を閉じていたが、体は濡れていて弱っているのがわかる。 このままでは死んでしまうと思った私は二匹を抱えて家へと急いで帰った。 家について自分の部屋に帰った私はすぐにタオルとドライヤーを用意し、 タオルの上置いて、別のタオルで拭きながらドライヤーで乾かした。 乾かし終わってしばらくした後、れいむが目を覚ました。 「ゆ…ゆっく…」 「ゆっくりしていってね」 「ゆぅ…おねぇさん…ここ…どこ…?」 「ここは私にお家だよ、あなたたちが外で濡れちゃっていたのを見つけて ここに運んできたんだよ。体が良くなるまでゆっくりしていってね」 「ゆっくり…する…ね…」 そういうとれいむはまた眠りについた。 まりさもその後起きたがれいむと同じことを伝えるとまた眠った。 餌をあげるために起こして用意したキャベツを与えたが2匹とも 用意した半分の量も食べずにもういらないと言ってきた。 まだ本調子じゃないからだと思ってその日は私も寝た。 次の日も食べ物を与えたがあまり食べなかった。 家族には部屋に絶対に入らないように伝えてあるので私がいない間に 食べ物をあげる可能性は無い。 だが次の日もまたその次の日も食欲がなさげで体調も一向に回復しなかった。 ゆっくりを拾ってきて4日目、れいむたちが私にこんなことを話してきた。 「おねえさんにおねがいがあるんだよ」 「何?何か食べたいものがあるの?」 「ちがうよ、れいむたちはあかちゃんをうみたいんだよ」 「でもね、あかちゃんをうんだらまりさかれいむはしんじゃうかもしれないんだよ」 「どうしても産みたいの?」 「れいむやまりさはゆっくりできなかったけど、あかちゃんにはゆっくりしてほしいんだよ」 れいむとまりさは弱弱しく微笑んでいた。私は親を亡くしたゆっくりはゆっくりできるのかと 思ったが、2匹の気持ちを尊重して口には出さずに了承した。 やはり交尾をしている姿を見られるのは恥ずかしいのかやんわり退室を求められた。 2時間後に部屋に戻ってみると2匹は無事でれいむのお腹?が少し膨らんでいた。 私は野菜と一緒にジュースも持っていったがやはりほとんど食べなかった。 1週間が経って、ついにれいむが出産を迎えるようだ。 産まれてくる子供は伴侶が受け止めるらしいがまりさが受け止められるとは思えなかったので 私に任せてもらった。 その結果れいむとまりさ1匹ずつが産まれた。 「「ゆっくりしていってね!」」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ……り…して…い…て…」 「れいむ!まりさとれいむのあかちゃんとってもゆっくりしているよ!」 「おかあさんゆっくりしていってね!」 「れいむとす~りす~りしてね!」 「れいむも…もっ…と…ゆ…くり…したか…」 「れいぶ!れいぶー!れいぶどいっじょじゃなきゃゆっぐりでぎないよおぉぉぉ」 「おきゃーしゃーん!」 「ゆぇぇぇぇぇぇぇぇん!」 れいむは目を開けなかった。情が移ったのか私も少しだけ泣いた。 そのあとまりさにれいむを食べてあげて欲しいといわれ、 部屋の外で食べるといって持って行き、ゴミ箱に捨てた。 まりさもやはり先が長くなかったのか、子供たちに外で気をつけなければならないこと、 例えば、人間(私は例外らしい)、れみりゃ、車、野生の生物など危険なものを教えていた。 というかそれだけしか教えていなかったように思える。 きっと外にいたときは過酷な生活をしてきたんだろう。それに巣の作り方や食べられるものは 実演してみなければ分からないだろう。 一通り外の恐怖を教えた後、まりさは私に子供たちを託して息を引き取った。 そのあと子供のれいむとまりさを見ていて分かったのだが、こいつらはほとんど跳ねない。 移動するときはほとんど這っているし、遊ぶときは前転したり、横回転することが多い。 親からちゃんと栄養をもらえなかったから障害が出たらしい。 こんな調子では野生で生きていけはしないだろう。 それに決定付けていたのが、私が部屋の中を換気しようと窓を開けたときのこと。 「どうしてあけちゃうのおおおぉぉぉぉ?」 「え、だって部屋の換気をしないと…」 「おそとはこわいところなんだよ、そんなこともわからないの?ばかなの?しぬの?」 こんな調子で外はおろか、部屋からもけっして出ようとはしない。 その物言いにはイラついたが私がこいつらの親を生かし、子を産むことも許可した責任がある。 少々高くついたが空気清浄機を部屋に設置した。 部屋から一歩も出ずに外の世界も知らないまま、れいむとまりさは拾ってきた両親と同じ大きさにまで 成長した。 私の部屋はゆっくりが荒らせないように大事なものは届かないところにおいてある。 そして帰宅したときのこと。 「ただいま~」 「「ゆっくりしていってね!」」 2匹を見て愕然とした。2匹の頭には茎が1本ずつ生えていた。 勝手に子作りをしたらしい。まあ食費がそれほど掛かるわけでもないし、気にはしなかった。 3日後に全員生まれて、れいむ3、まりさ4、そして親の合計9匹で 「ゆっくりしていってね!」といわれたときはうるさいと思った。 その週の休日の日部屋でまったりとしている時、ゆっくりたちが喧嘩しだした。 「まりしゃはおしょとであそびちゃいよ!」 「れいみゅもおしょとにでちゃいよ!」 「おかあさんのおあかさんがおそとはこわいところだっていってたんだよ!」 「まりさのこどもたちもゆっくりりかいしてね!」 「でみょこんなせみゃいところじゃゆっくりできにゃいよ!」 「「しょーだしょーだ!」」 「まりしゃたちをゆっくりさせちぇくりぇにゃいむにょーにゃおやはしにぇ!」 「「どぼじでぞんなごどいうのおおおぉぉぉぉ」」 そんなに広くは無い部屋だから狭いというのも仕方ないね、 子供に泣かされているれいむたちに私がちゃんと見ているからお外で遊ばせることを提案したら 渋々と了承した。 私の部屋からは見えない位置にある庭にちっこいゆっくりたちを手に乗せ連れて行き、 遊ばせる。 草を引っ張って遊んだり、土を掘って「ここはれいみゅのゆっくりぷれいちゅだよ!」と お家宣言したり、ありの行列を見て「ゆっくりしていってね!」と声をかけたり、 花や虫を食べるが普段食べているものより不味いため一度でやめていた。 外で2時間ほど遊ばせるとさすがに疲れてきたようでゆっくりしてきたので私の部屋に戻した。 部屋に戻るとれいむとまりさが子供たちのそばによって来た。 「だいじょうぶ!?どこもいたいところない!?」 「おそとはおわかったでしょ!す~りす~りしてあげるよ!」 「おしょとはとっちぇもたにょしきゃっちゃよ!こわいにゃんておきゃーしゃんはばきゃだにぇ!」 「おしょとにでにゃいにゃんちぇかわいしょうだにぇ!おお、ふびんふびん」 「「どぼじ(ry 「あしたもあしょびちゃいよ!おにぇしゃっくしゅっ!」 何だ今のは?くしゃみ?ゆっくりって鼻も無いのにくしゃみをするのか? 「にゃんだきゃむじゅむじゅっくちゅっ!」 「おみぇみぇもかゆいよっぷしゅっ!」 面白いくしゃみをするものだと私は笑った。 向こうのれいむなんて顔の中心から鼻水みたいなものをたらしている。 こっちのまりさはなぜか目が赤い。何で赤いんだ? 「ゆっくりしていってね!それじゃゆっくりできないよ!」 「おかあさんがぺ~ろぺ~ろしてあげるよ!」 親たちが何もできずにもたもたしていると子供たちのくしゃみが大きくなってきた。 そしてくしゃみの間隔もどんどん狭くなっていく。 「くしゅんっぐしゅんゆっくしゅんっぐしゅべええぇぇぇぇぇ」 なんと子供のうちの1匹がついに中身まで吐き出し始めた。 吐き出した子供は中身が全部なくなりぺらぺらになっている。 それを見た親たちは固まり、子供たちはパニックに陥った。 「いやじゃぁぁぁっくしゅっれいみゅっくしゅんしにちゃきゅぶぅぅぅぅぅぅぅ」 「……くしゅ………ぷしゅ……ぎゅしゃばばばばばばばばば」 「やめてね!くしゅんしたらゆっくりできないよ!どぼじどじじゃうのおおおおぉぉぉ!!!」 「おかあさんのおくちのなかにはいってね!」 何でかれいむが口の中に子供を入れているがくしゃみは止まらない、もちろん中身が飛び出ることも。 こうして無事な子供はいなくなり部屋は餡子だまりだらけになった。 「れいぶのごどもだちがみんなじんじゃっだよぉおぉぉぉぉぉぉ!!!」 「やっばりおぞどはあぶないんだよぉぉぉぉぉぉ!!!」 れいむたちは大泣きしているが泣きたいのはこっちのほうだよ。 誰が掃除すると思ってるんだよ。とりあえず雑巾とバケツを持って来ようと部屋を出る。 部屋に戻るとなんとれいむとまりさは子供たちの亡骸や餡子を食べていた。 しかし、おいしそうに食べるのではなく、泣きながら食べていた。 どうして食べているのか聞いてみると、もう一度自分たちの子供として生まれてくるようにと 願いらしい。ゆっくりというのは変な観念を持っているなぁ。 次の日、同僚にこのことを話してみるとこんなことを教えてくれた。 「それは免疫力が落ちるのが原因らしいよ。ほら、人間でも子供のうちに外で遊んでおかないと 病気になりやすいっていわれるでしょ?ゆっくりにもそれが当てはまるらしくて、 親が室内飼いされたゆっくりだと免疫力が落ちて、カビも生えやすいんだって。 まあ、今の時期は花粉が多く飛び交うらしいからそれだと思うよ」 と、大きなマスクをして目を真っ赤にして同僚は話していた。 どこからそんな情報を仕入れてきたかはあえて聞かなかったが、 同僚は「私もこんなに辛いんだからゆっくりに取っては地獄だろうねぇ」と言っていた。 私は「花粉症になったことないから分からないわー」と笑ったら 同僚が「死ね!」と殴ってきた。 家に帰ると傷心中なのか2匹は寄り添って泣いていた。 私は覚悟を決めて2匹を抱きかかえて外に連れ出す。 「やめてねおそとはゆっくりできないよ!ゆっくりりかいしてね!」 「きのうのこともおぼえてないの?ばかなの?ちしょうなの?」 こいつらは外へ出なかったから免疫がついていないのだ。外へ出て、危険はあるけれども ゆっくりできない場所ではないことを学べばいい。 「やべでえぇぇれいぶはくしゅんじだぐないよおおぉぉぉぉ」 「はなじでええぇぇぇゆるじでぇぇぇぇぇぇ」 そしてちょっとずつ外に慣れていけばいい、昨日と同じ場所でれいむとまりさを下ろす。 だが今日は1時間だけのつもりだ。そして少しずつ増やしていく。 こいつらの親だって元は外で暮らしていたんだから大丈夫! 「「ゆっぐりでぎないよおおおぉぉぉぉぉぉ」」 終 あとがき もう少し上手くできたんじゃないかなぁと後悔しています。 この2匹がどうなるかはご想像にお任せします。 なにはともあれ、ネタをくれて許可を下さった 943氏には感謝しています。 今日はSS書くつもりは無かったけどティンときてしまったんだから仕方ない。 それでは読んで頂きありがとうございました。 『オマケ』でした。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/271.html
灰色に染まった壁と、鉄格子で区切られた窓。 冷たく、硬い地面。 無機質に区切られた小さな部屋で、1匹のゆっくり霊夢が途方に暮れていた。 「ゆっくりさせて!」 大きさはバスケットボールほどにもなる。 そして頭には、一本の茎が生えていた。 「あかちゃんもゆっくりできないよ!」 心配そうに見上げた茎には、9匹の赤ちゃんゆっくりが実っている。 れいむ種が5匹、まりさ種が4匹。 どれもプチトマトより一回り小さいが、あと数時間もすればぷっくりと実って生れ落ちるだろう。 「まりさ!どこにいるのぉお!?」 何も置かれていない、8畳ほどの部屋。 その部屋の中心でれいむは叫んだ。 茎に実った赤ちゃんに気をつけながら周囲を見渡すが、最愛のゆっくり魔理沙はどこにもいない。 「まりざあ・・・まりざぁ・・・」 赤ちゃんを身ごもっているゆっくりは、パートナーへの依存度が高い。 このれいむも例外でなく、姿の見えない伴侶を求めて身重の体を引きずり這いずり回っていた。 「まりさ・・・にんげんにいじわるされてるのかな・・・まりさ・・・あいたいよ・・・いっしょにゆっくりしたいよ・・・」 れいむはこの部屋に連れてこられた時のことを思い出していた。 それは昨日のこと。 れいむとまりさは森の入り口で日光浴をしていた。 春先とはいえ、まだ寒さの残る日が多い。 あたたかいお日様にあたって赤ちゃんにゆっくりしてほしい、まりさが提案したことだ。 最初、れいむは反対した。 自身の両親は日光浴の最中に人間に捕まったからだ。 それも、茎に命を宿しているときに。 人間達は両親に宿った、妹となるはずの赤ちゃんを皆殺しにした。 巣穴を襲撃され、茎を同じくした姉妹が次々と殺され、一家は崩壊した。 れいむが助かったのは、親のまりさが最後まで諦めずに守ってくれたからだ。 だが結局親まりさは力尽き、残ったのはれいむ1匹となってしまった。 れいむは住み慣れた土地を逃げ出した。 ただ怖かった。 川を越え、野原を越え、山を越え、皮がぼろぼろになりながらもれいむは生き延びた。 時は流れ、あのときの親ゆっくりと同じくらいの大きさにまで成長できた。 だが人間への恐怖心がなくなることはなかった。 かつての両親の姿が頭によぎり、外に出る気が起きなかったのだ。 しかし、赤ちゃんに日光浴をさせてあげたい気持ちもあった。 いつもおいしいご飯を取ってきて、自分をゆっくりさせてくれた親まりさ。 幼い自分を必死で守ってくれた親まりさ。 そんな親まりさを、れいむはずっと尊敬していた。 自分も赤ちゃんだけは何があっても守る、ゆっくりさせてあげると決めていたのだ。 パートナーのまりさは言った。 れいむとあかちゃんはまりさがぜったいにまもるよ、と。 だかられいむはその言葉に甘えることにした。 「ゆっくりしたけっかがこれだよ・・・ゆぅぅぅぅ・・・」 結局、親と同じように人間に捕まってしまった。 まりさは懸命に戦ってくれたが無駄だったのだ。 れいむの前に一人の男が現れた。 右手はまりさの底部を掴み、逆さ吊りにしている。 「ゆっ!おにいさん、まりさをかえしてね!!」 れいむは餡子脳ながらも、その男を覚えていた。 自分とまりさを誘拐した男だということを。 「ほらよ」 ふわりと宙を舞い、まりさは硬い床に落とされた。 「ゆべへっ!」 顔面から落下したまりさに、れいむは擦り寄った。 幸い、餡子は吐いていない。 死ぬことはないだろう。 「まりさ、まりさっ!ゆっくりしよう!ゆっくりしていってね!!」 なかなか顔を上げないまりさ。 れいむは不思議に思い、まりさの体を見回した。 「ゆっ・・・!?」 丸々とした、美しい曲線を描いていたまりさの輪郭は、どこにもなかった。 あちこちが歪み、ところどころ陥没や隆起を繰り返している。 何度も殴られたであろう皮は、餡子の色がうっすらと滲み、黒いアザを作っていた。 逆さ吊りにされて帽子が落下しなかったのは、ぼこぼこになった頭部がうまいこと引っかかっていたためだ。 「ど・・・どうして!?まりさ!!あのにんげんにやられたの!?」 れいむは男に振り返り、威嚇をしようと息を吸い込んだ。 だが、途中で膨れるのをやめた。 膨れて不用意に茎を動すと赤ちゃんに悪影響があるかもしれない、れいむはそう判断したのだ。 「おにいさん!れいむはゆっくりおこったよ!!まりさにひどいことをしないでね!!」 精一杯の抗議。 しかし男はれいむの言うことなど気にもせず、籠から道具を取り出し吟味していた。 ハンコほどの太さがある鉄の棒と、ハエ叩き、アルコールランプ。 れいむには、何に使う道具なのか理解できなかった。 「れ、れいぶぅ・・・・」 背後から聞こえてきたまりさの声に、れいむは振り返った。 「ま!まりざぁああ!!?」 まりさの顔面は真っ黒に腫れ上がり、不気味な色をしていた。 暴力に耐え切れなかった内部の餡子が行き場を失い、皮の下で蠢いているのが見て取れる。 皮に傷らしきものはなかった。 人間で言うと、内出血に近い状態かもしれない。 「ごべんねぇ・・・まりざあ・・・・ごべんねえ・・・」 痛みを少しでも和らげてあげたい。 そんな思いから、れいむはまりさに頬擦りをした。 「ゆべぇっ!!いぎゃぁっ!!いぢゃいいい!!」 膨れた傷に力強く押し付けられたれいむの頬は、まりさに激痛をもたらした。 「やめでぇ!いだいよぉ!!!」 予期せぬ悲鳴に、れいむは思わず体を引いた。 そしてその言葉の意味をゆっくり理解する。 「ご、ごめんねまりさ!もうすりすりはやめるよ」 まりさは触れられた頬が痛いのか、目から涙をこぼした。 「ごべんねれいぶ・・・まりざ、れいむをまもっであげられながった・・・!それに・・・ありざのがわぃいかおがぁ・・・!」 「ゆっ!?ちがうよ!まりさはわるくないよ!!ぜんぶあのおにいさんがわるいんだよ!!」 元はといえば、いきなり自分たちを誘拐したあの人間が悪いのだ。 頬をあわせることはできないが、れいむはまりさに寄り添う。 そしてまりさの分の怒りも込めて、れいむは男を睨み付けた。 男はそのやりとりを冷めた目で見ていた。 この2匹を捕まえてから、男はまりさだけを隔離し暴行を加えた。 男にとって、まりさは重要ではなかった。 れいむの茎に実る赤ちゃんが大きくなるのを待つ間の退屈しのぎに利用されただけだ。 捕獲の際、邪魔をしたことに対する制裁の意味もあったが。 暴行に使われたのはハエ叩き。 竹製のごく一般的なものである。 スナップをきかせて延々と叩いた結果が、あのボコボコ饅頭である。 ハエ叩きは当たる部分の面積が大きいため、皮を破ることなく衝撃だけを伝える。 右頬、左頬、底部に頭頂部、後頭部。 全身余すところなく叩かれたまりさは、動くことすら苦痛なはずである。 念入りに叩かれた顔面は、見るも無残なほどに黒あざだらけだ。 『やめて!もういたいのいやだよ!』 『いだいよぉ!まりざのおかおがぁ!』 『きぼちわるいよ!なかがきもちわりゅいぃ!』 そんな叫びの声を掻き消すように、男はハエ叩きを振り続けた。 最後の頃になると、その場にいないれいむにまで助けを求めていた。 れいむを守るために戦っていたというのに、そのれいむに助けを求めるとはなんとも情けない話だ。 そして今、れいむの茎に実る赤ちゃんはプチトマトよりも一回り小さいくらいに成長していた。 捕獲した時点ではビー玉ほどであったから、だいぶ大きくなったといえる。 もうまりさに用はない。 男はハエ叩きを手に取った。 「ゆっ?おにいさんなんなの!?ゆっくりこないでね!!」 男に振り返り、れいむは警戒態勢をとる。 まりさは男の手に握られたハエ叩きを見て、黒あざだらけの顔を青くした。 「やぁああ!!!いだいのいやだよぉおっ!!!もうたたがないでえええぇぇ!!!」 ひゅんひゅんと、風を切る音を立てて男は素振りをした。 まりさの様子を見て、れいむはとっさに男の前に立ちはだかったが、横を難なく素通りされてしまった。 「さあ、続きをやろうか」 「ゆぅああ!!ゆるじでね!!もうゆるじでねえ!!」 壁に追い詰められたまりさに、容赦なくハエ叩きが飛ぶ。 鼓膜を突き抜けるような、乾いた音が部屋に響いた。 「ゆべえ!!いだいよぉお!!やめでええ!!」 倒れようとするまりさ。 そうはさせまいと、まりさの顔面に向かってハエ叩きがアッパーをする。 「びっぶぅ!!ゆぅぐぅ!!」 仰向けに倒れたところで、男は右頬と左頬に往復ビンタのごとく連続して攻撃をする。 手首のスナップが重要な技である。 「おにいさんやめてね!!まりさがいたがってるよ!!ゆっくりしないでやめてね!!」 ずりずりと近寄ってくるれいむに向かって、男はハエ叩きを突きつけた。 「赤ちゃんを叩き落としてやろうか?」 その言葉に先に反応したのはまりさであった。 「やべてね!まりざとれいむのあがぢゃんをいじめないでねっ!!」 「まりさ・・・!」 「れいむぅ、れいむは離れててね・・・!まりさならだいじょうぶだよ!」 必死で体を起こすまりさ。 それを見たれいむは無言でうつむくと、男から離れた。 「まりさぁ・・・」 「ゆっくりしていってね!!あかちゃんといっしょにゆっくりしていってね!!」 れいむに笑顔を見せたまりさだが、すぐにその表情は崩された。 やむことのないハエ叩きの嵐。 皮が破れないから餡子も漏れない。 いつまでもまりさの苦痛は続いた。 「まりさ・・・!まりさ・・・!」 れいむはただ、愛するものの名前を呼ぶことしかできなかった。 10分もすると、まりさは声すら上げなくなった。 男がハエ叩きを振り上げたまま、動作を止めた。 ドラ焼きのように平べったくなったまりさは僅かに痙攣しているものの、動く様子は見られない。 「まりざぁああ・・・・!!」 近寄ろうとするれいむに、男はハエ叩きを向けて牽制した。 「そろそろいいか。じゃあな、まりさ」 そう言うと男は立ち上がり、まりさを見下ろした。 一瞬、れいむに視線を移したがすぐに戻す。 「なにをするのぉぉ!?まりざをいじめないで!!」 れいむが言い終えるのを確認し、男は右足でまりさの体を蹴り飛ばした。 「ゆ゙っ!」 それだけ言い残し、饅頭もといドラ焼きがはじけ散る。 飛び散った餡子が壁にこびり付いた。 「い゙ゆあぁあ゙ああ゙ああ゙ああぁぁ!!!!!まりざああ゙あぁああぁあ゙ああ゙あ!!!!」 形が歪んだ帽子を前に、れいむは泣き崩れた。 最後まで赤ちゃんと自分を守ってくれたまりさ。 ありし日の親まりさと姿が重なり、れいむは赤ちゃんのことも忘れて泣き叫んだ。 「静かにしろ」 れいむの頬に、強烈な衝撃が走る。 「ゆびぃっ!?」 ひりひりと頬が痛む。 男の手に握られたハエ叩きを見て、れいむはその痛みの正体を知った。 まりさはこんなに痛いことをされていたんだ、れいむは身の危険よりも先にまりさへの感謝を覚えた。 「やべでえ!!れいむにはあがぢゃんがいるんだよ!!やべでねえっ!!」 「だったら黙っていろ。それなら叩かない」 普通だったら構わず泣き叫ぶところであったが、頬の痛みが冷静な考えを生み出した。 いま泣き叫んではまりさが守ってくれた赤ちゃんが危険にさらされる、と。 「ゆっ・・・・!ゆ・・・・!」 れいむはこぼれそうになる嗚咽をどうにか喉の奥に押し込め、代わりに涙を垂れ流した。 「そうだ。そうやって黙っていれば叩かない。赤ちゃんもちゃんと産める」 ハエ叩きを無造作に床に投げ捨て、男はアルコールランプに火をともした。 「ゆっ・・・!」 燃え上がる炎に、れいむは餡子が冷える思いをする。 それは本能からくる反応でもあったし、経験からくる反応でもあった。 れいむは以前、足(底部)を人間に焼かれ、動くことができなくなったゆっくり魔理沙の話を聞いたことがあったのだ。 あのゆっくり魔理沙も、人間に捕まった伴侶や子供を殺されて開放されたのだという。 男は右手に持った鉄の棒を火にかざしていた。 長さも太さも、ハンコほどだ。 熱で火傷をしないため、手ぬぐいのようなものを間に挟んで棒を持っている。 「さっきお前を叩いた道具、それで生まれたばかりの赤ちゃんを叩いたらどうなると思う?」 れいむに目線を移すことなく、男は言った。 声を出していいものかれいむは迷ったが、これはきっと大丈夫だろうと判断した。 「ゆっ・・・」 声に出すのも恐ろしい、れいむは返答に困る。 だが黙っていては、また叩かれてしまうだろう。 れいむは意を決して答えを告げた。 「・・・つぶれちゃうよ。・・・やめてね!おねがいだよ!」 餡子脳でも簡単に導き出せる結論だ。 あの叩く部分は赤ちゃんゆっくりの体よりもはるかに大きい。 さきほどの力で叩かれれば、簡単に潰れてしまうだろう。 「よくわかってるな。じゃあ俺の言うことを守れば赤ちゃんは潰さない」 「ゆっ!はやくおしえてね!!ぜったいにまもるよ!!」 火にかざした鉄の棒を見ていた男の目が、れいむを捉える。 「目を閉じて、俺がいいというまで黙っていろ。そうしないと・・・」 「ゆっくりとじるよ!だからあかちゃんをいじめないでね!!」 言い終える前にれいむは目を閉じた。 理解の早いゆっくりに、男は関心した。 「いいって言うまでだぞ。途中で目を開けたら、赤ちゃんがまりさみたいになるぞ」 「ゆぎっ・・・!ぜったいにあけないよ!!」 まりさみたいに、という表現にれいむは苦虫を噛み潰したような顔をしたが、目は閉じたままであった。 それを確認すると、男は熱した鉄の棒を火の上かられいむの頭上に移動させた。 そこにいるのは丸々と実ったれいむの赤ちゃんだ。 どれも順調に育っているが、まだ生れ落ちるほどではない大きさ。 男は一番手前にいた赤まりさに目をつけた。 左手に持ったピンセットで、ぴっちりと閉ざされた赤まりさの口を開ける。 目を閉じたままの赤まりさが表情に疑問符をつけるが、そんなものはどうでもいい。 赤まりさの口は、成長段階だけあってあまり大きくなかった。 ハンコの太さがぴったり合うくらいだろう。 喉も小さく、綺麗に研いだ鉛筆で穴を開けたくらいの大きさだ。 声は出るのかわからない。 男は熱した鉄の棒を躊躇うことなく、赤まりさの口内に押し込んだ。 予想通り、太さはぴったりであった。 「ゅ゙っ!?」 蚊の消え入るような、小さな悲鳴が男にだけ届いた。 れいむは赤ちゃんの危機も知らずに、目を閉じたまま待っている。 高温の鉄の棒は赤まりさの口内を焼き付けていく。 何度か鉄の棒を火に当て直しながら、男は鉄の棒で赤まりさの口内をこねくりまわした。 赤まりさはどうにか苦痛から逃れようと体を揺するが、男相手では無意味であった。 男が棒を抜くと、口をあけたままの赤まりさがいた。 口内はコゲで硬くなり、閉じることもできない。 喉も完全に焼き潰れたため、声を発することも、ものを食べることもできないだろう。 口としての機能はなく、ただ窪んでいるだけ。 そのことをわかっているのかいないのか、赤まりさは今にも死にそうな顔をしていた。 閉じた瞳から今にも涙があふれそうである。 男は思わず顔がにやけた。 時間がかかったが、男は同じように全ての赤ゆっくりの口を丸コゲにした。 赤ちゃん達から「くち」がなくなってから10時間ほど経った頃。 「ゆっ!あかちゃんうまれるよっ!」 ようやく出産のときがやってきた。 口を開けたままの赤ゆっくりが揺れ始めている。 男は読んでいた本を床に置き、その光景を楽しそうに眺めた。 一段と揺れが大きくなったかと思うと、ぽとりと1匹の赤ちゃんが床に落ちた。 長女となったのは赤れいむだ。 「ゆっ・・・!」 声をかけようとして親れいむは口を閉じた。 赤ちゃんの第一声を待とうと思ったからだ。 だが、いくら待っても赤れいむは声を上げない。 口を大きく開いているが、そこから出てくるものはなかった。 「ゆっ・・・?がんばってね!!」 生れ落ちた感動に喜んでいた赤れいむの顔は、徐々に暗く落ち込んでいく。 懸命に体を揺すったり飛び跳ねている様子から、声を出そうと努力していることが見て取れる。 静かな部屋に、赤れいむの跳ねる音だけが空しく響いた。 「おちびちゃん!ゆっくりがんばってね!!がんばってね!!」 「・・・」 飛び跳ねるのを止め、親れいむを見上げる赤れいむ。 その目には、涙が溜まっていた。 「お゙ねがいだよぉおぉおおっ!! おかあざんとお゙しゃべりしよゔよぉお゙おお゙ぉぉ゙ぉぉ!!!」 涙のダムは、その言葉をきっかけに崩壊した。 何本もの涙の線が、赤れいむの顔に浮かぶ。 「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってねっ!!!ゆっぐりじでいっでねええぇえっ!!!」 「・・・」 お手本を聞かせようと、親れいむは定番のセリフを壊れたカセットテープのように繰り返す。 親の期待にこたえたいのか、再び赤れいむは体をねじったり、飛び跳ねたりを繰り返した。 そのやり取りを見ていた男は笑みを浮かべていた。 ゆっくり達のアイデンティティーともいえるセリフ「ゆっくりしていってね」は、男によって赤れいむから永遠に奪われているのだ。 それも知らずに無駄な努力を続ける親子を見ていると、笑いがとまらない。 「ゆっ!?またうまれるよ!こんどはげんきなあかちゃんがほしいよっ!」 「・・・」 茎に違和感を覚えたのか、親れいむは茎を見上げた。 間接的にではあるが「元気でない赤ちゃん」の烙印を押された赤れいむは、恨めしい顔をして親れいむを見ていた。 ふらふらと揺れる赤まりさ。 それは最初に口を潰された赤ちゃんであった。 「ゆゆぅ!がんばってね!!ゆっくりうまれてね!!!」 赤まりさはゆっくりするはずもなく、すぐに茎から離れた。 赤れいむのすぐ横に落ちた赤まりさ。 まだ目も開けていなかったが、親れいむは待ちきれないとばかりに声を荒げる。 「ゆっくりしていってね!あかちゃんっ!!ゆっくりしていってね!!!ゆっくりしていってねっ!!」 今度の赤ちゃんは、ちゃんとおしゃべりができるはず。 親れいむの願いが声のボリュームを引き上げる。 「ゆっくり!!ゆっ!!!ゆっぐりじでねっ!!!ゆっぐりいいいいい!!!!」 とても赤ちゃんを迎える表情ではなかった。 赤まりさが最初に見た親の顔は、般若のごとく歪んだ表情であった。 「・・・」 驚いたが、声は出なかった。 口内はウェルダンを通り越して丸コゲなのだ。 赤まりさは体を起こし、声を出そうと体をひねった。 「ゆっ・・・!?こっちのおちびちゃんもなのぉおお!?」 その動きに、長女の赤れいむと同じものを感じる親れいむ。 しばらくすると、赤まりさは飛び跳ね始め、そして泣き出してしまった。 やっぱりこの子もおしゃべりができない子なんだ、親れいむはその事実を認めざるを得なかった。 「で、でもつぎのあかちゃんはきっとゆっくりできるよ!!」 茎を見上げる親れいむの目は、希望と不安が入り混じった色をしていた。 焼かれた時点でこの結果は決まっていた。 結局、生まれ落ちた赤ちゃんゆっくり9匹は、1匹として第一声をあげることがなかった。 「どぼじでぇ・・・・どぼじでなのぉお・・・!?」 9匹の赤ちゃんを前に、オロオロと対処に困っている親れいむ。 それを黙って見つめる9匹の赤ゆっくりも神妙な面持ちだ。 「ゆっくちさせて」「ゆっくちちたいよ!」「おかーしゃんとすりすりしたい!」などと一部の人間が聞いたら有頂天になるようなフレーズを言うものはいない。 中には涙を流している赤ゆっくりもいるが、口が笑っている状態のため、あまり可哀想に見えない。 「ゆっ・・・!」 親れいむは思う。 喋れなくても、自分とまりさの大切な赤ちゃんなのだと。 少し生活に困るかもしれないが、自分が守ってあげればきっと元気な、ゆっくりした子に育ってくれるはずだ。 この子達にとって、ただ一人のお母さんなのは自分。 亡きまりさが守ってくれた赤ちゃん。 自分を守ってくれた親まりさのようになるんだ。 親れいむは赤ちゃん達を正面から受け止める決心をした。 「みんな、ゆっくりしていってね!!!」 力強さを感じる親れいむの「ゆっくりしていってね」。 赤ゆっくりから不安が消えた。 このお母さんならゆっくりさせてくれる、そう感じるほど頼りがいのある声であった。 「それじゃあゆっくりごはんをたべようね!」 まずは赤ちゃんの旺盛な食欲を満たそうと考えたのだろう。 親れいむは水に濡れた犬のように体を揺すり、頭に生えた茎を落とした。 「ゆっくりたべてね!」 満面の笑みで親れいむは子供達を見守る。 赤ゆっくりの目も笑っていた。 幸せな家族のワンシーン、そうなるはずだった。 「ゆ・・・?ゆっくりたべてね?」 茎の周りに9匹の赤ゆっくりが群がっているのだが、1匹として食べる気配がなかった。 顔を近づけ、口に含むような動きをするが、それから先へは続かない。 口内は硬くて動かない、そして喉もないので飲み込めない。 男だけが赤ゆっくりの不思議な行動の理由を知っていた。 「ゆっ!わかったよ!」 何を思いついたのか、親れいむは赤ゆっくり達の間に押し入り、茎にかじりついた。 むーしゃむーしゃと言いながら、茎を咀嚼する親れいむ。 横取りされるのではないかと、不安な表情で9匹が見守っている。 「まずはおちびちゃんからだよ!」 一番近くにいた赤れいむに、親れいむは口を近づける。 そして、開きっぱなしの赤れいむの口に、噛み砕いて唾液まみれになった茎を流し込んだ。 「かたくてたべられなかったんだね!!でもゆっくりりかいしたよ!!」 記憶をたどり、自分が赤ちゃんであったときのことを親れいむは思い出していたのだ。 ご飯が食べられなかった自分におかあさんが、噛み砕いたご飯を食べさせてくれたことを。 口移しを終え、親れいむは達成感にあふれる顔になった。 「ゆっくりたべてね!むーしゃむーしゃだよ!」 だが赤れいむはそれに答えず、固まっていた。 開いた口には噛み砕かれた茎がそのまま残っている。 「むーしゃむーしゃだよ!!!ゆっくりりかいしてね!!むーしゃむーしゃだよっ!!!」 自分はできたこと。 それなのに、なぜ自分の赤ちゃんはできないのだろう。 親れいむの中に不安が広がり、声が荒くなっていく。 それを敏感に察知した赤れいむは、必死で飲み込もうと努力をした。 だが、開いてない喉にご飯は通せない。 しばらくすると、動くことをやめて親れいむを見つめ始めた。 助けてくれると信じて。 「・・・」 「どうじでぇ・・・?ごはんをたべないとゆっぐり゙できないのにぃいい・・・・」 他の赤ゆっくりにご飯を食べさせようとしたが、結果は変わらなかった。 途方に暮れた親れいむは、男に頼ることにした。 「おにいざん・・・・あかちゃんにごはんをたべさせてあげて・・・」 親れいむの顔はどことなく歪んで見えた。 涙で皮がふやけたのかもしれない。 「無理だな。赤ちゃんの世話はお母さんのお前が一番上手に決まってる」 「ゆぅ・・・そうだよね・・・ごめんね・・・」 「そんなお前が赤ちゃんにご飯を食べさせられないなんて」 「ゆゆ・・・」 「お前が無能なせいで赤ちゃん達はゆっくりできないんだよ。ダメな親を持って残念だったね、そこの赤ちゃん達」 男が言い終えると、赤ゆっくり達はうつむいていた顔を上げた。 その顔に涙は無い。 あるのは怒りの表情。 口は笑っているが、その目は鋭く、眉は45度を保っていた。 「ゆっ・・・?どうしたのおちびちゃんたち・・・?」 最初に飛び掛ったのは赤まりさだ。 プチトマトほどの赤まりさが、バスケットボールほどもある親れいむの頬にタックルを仕掛ける。 「ゆ!?」 特に反撃をしたわけでもない。 体格差から、親れいむは赤まりさを弾き飛ばしていた。 「どうしたの!?ゆっくりやめてね!!」 その赤まりさを引き金に、次々と赤ゆっくり達が親れいむに体当たりを始める。 無言で飛んでくる弾丸プチトマト。 顔には怒りと憎しみだけが写し出されていた。 「やめてねっ!!おかあさんだよ!?ゆっくりやめてね!!」 親れいむはケガをするどころか、痛みすら感じなかった。 質量も速度もない赤ちゃんゆっくりの体当たりには、攻撃のコの字すら感じられない。 しかし、親れいむはその衝撃を通じて赤ゆっくり達の声を聞いた。 『おまえのせいでゆっくりできない』『やくたたず』『それでもおやか』『ゆっくりしね』 『ゆっくりさせろ』『まりさがくるしいのはおまえのせいだ』『れいむはゆっくりしたいのに』 『おねがいだからゆっくりさせてよ』『もっとゆっくりできるおかあさんがほしかった』 無論、それは親れいむの餡子内で勝手に想像した言葉にすぎない。 だが赤ゆっくり達が訴えたい内容としては、正しいものだろう。 本来であれば、そっちの人たちが天にも昇るようなセリフで親を罵っているはず。 一言も喋ることなく体当たりを繰り返す赤ゆっくり達の姿は、実に新鮮だ。 先ほど弾かれた赤まりさは、ころころと床で数回転がると、すぐに立ち直った。 そして再び眉を引き締め、親れいむの元へ跳ね寄る。 今度は顎のあたりを目掛けて体当たりを繰り出し、また弾き飛ばされた。 赤まりさは言葉を発することなく、延々と同じような動作を繰り返した。 その異常な光景に、男は声を立てて笑い始めた。 親れいむが男を一瞬だけ睨んだが、すぐに赤ゆっくり達に向き直る。 「もうやべでえええ!!!ゆっぐりじでよぉおおおっ!!!」 壁に追いやられた親れいむが叫んだ。 相手は弱っている、と勘違いした赤ゆっくり達がさらに体当たりを加え始める。 赤ゆっくり達の体には、かすり傷ができていた。 親れいむにぶつかった時や、床を転がるときにできたのだ。 体当たりをする度に増え、見ていて痛々しいのだがそれでも懸命に赤ゆっくり達は立ち上がる。 それを見て、親れいむの心が痛む。 傷だらけになってまで自分を殺そうとする赤ゆっくり達に、体は痛まないが心が痛む。 ゆっくりさせてあげると誓った赤ゆっくりが、ゆっくりすることなく自分に立ち向かう。 なぜこんなことになってしまったのだろう。 親れいむは嗚咽をこぼし、涙を流す。 それが赤ゆっくりを調子付けているとも知らずに。 「赤ちゃん達、ちょっといいかな」 猛攻を止めたのは、暢気に鑑賞していた男。 何かを期待しているのか、赤ゆっくり達の目が輝いている。 「君達、ご飯食べられないんだよね」 9匹が目線を床に移した。 親れいむだけは男の目を見たままだ。 「あんまり運動すると、おなかすいて死んじゃうよ」 「ゆっ!!」 親れいむは思わず声を漏らしてしまった。 ご飯を食べないと餓死してしまう。 そんなことにまで頭が回っていなかったのだ。 「ちびちゃんたち!うごいちゃだめだよ!!おなかがすいてしんじゃうよっ!」 その言葉に、赤ゆっくり達は顔を青くした。 もうすでに空腹感があるのだろう、迫りくる死をゆっくり理解したようだ。 「ゆぅぅううぁぁああ!!!どうじだらいいのぉおぉ!!??」 慌てふためく親れいむとは裏腹に、赤ゆっくり達は静かに瞳から雫をこぼした。 「泣いてると、喉が渇いて死んじゃうよ」 そもそも、喉が渇くどころかコゲている。 男の言うことがわかるのか、赤ゆっくり達は顔に力を入れて涙を止めようとした。 「はやくじないどあかちゃんがゆっぐりでぎなくなっぢゃうよぉおぉ!!!」 生まれたときからゆっくりしていない、男はそんな感想を持った。 8時間が経った。 男はその間、一切口を挟むことはなかった。 死のゴールが見えているゆっくり達をいじる、そんな無粋なマネはしない。 最期の時まで生暖かく、助かる道を探す親れいむを見守るのだ。 そんな道など存在はしないが。 「ああぁぁ・・・おちびちゃん・・・ごめんねぇええ・・・・」 今、1匹の赤ゆっくりが目を閉じた。 通算8匹目。れいむ種では最後の1匹となる。 あれから、赤ゆっくり達は何もしなかった。 忍び寄る餓死の足音におびえながら、目の前にいる親れいむを恨む事でなんとか正気を保っていたのだ。 憎しみに染まった8の瞳が、親れいむをずっと捉えていた。 赤ゆっくりは総じて体力が少ない。 小さな体では、体力となる餡子があまり確保できないからだ。 旺盛な食欲は、生きるための本能である。 親れいむへの攻撃と、それによって負った傷は予想以上に赤ゆっくりから体力を奪っていた。 7時間を越えた辺りで最初の1匹、赤まりさが永遠にゆっくりした。 それから先は早く、赤ゆっくりは次々と瞳を閉じた。 動かなくなった赤ゆっくりは、ほとんど皮だけの状態になっていた。 最後まで親れいむを睨み続けていた目の周囲や眉間に、深いシワが残っている。 「がわいいれいむがぁあ・・・!おめめをあげでねぇえ!!れいむ゙をにら゙んでもい゙いがらぁ・・・おね゙がいだよお・・・・」 れいむれいむと泣き叫ぶ親れいむを、最後に残った赤まりさが真っ赤になった目で睨みつける。 赤まりさの体はほとんど皮だけになっており、あちこちにシワが走っていた。 もう長くないはずだ。 そう思っていた男、そして親れいむも赤まりさの次の行動に驚く。 「・・・・ゆ゙っ!?」 たるんだ皮を引きずり、赤まりさは親れいむに近寄っていく。 その目に光はない。 幼くして死を受け入れた目。だが、その奥には黒く歪んだ感情が潜んでいた。 「まりざぁ・・・!ゆっぐりしようねっ!おがあじゃんがすりすりじであげるがらねっ!!」 隠された激情に気がつかない親れいむ。 最期の時を親である自分と過ごそうと思っている、そう勘違いした。 「ゆ゙!おがざんと・・・いっじょにゆっぐりじようねっ!!」 だから、親れいむは笑顔を作った。 赤まりさをゆっくりさせてあげたい。 切なる願いだった。 「・・・・ゆ?」 体に感じた、小さな衝撃。 それは、赤まりさの最期の体当たりだった。 「ゆ゙ぁあ゙ああ゙あぁ゙ぁあ゙っ!!!!」 弾けとんだ赤まりさは、床に落ちて絶命した。 仰向けに倒れたままだ。 「あ゙りざあぁあぁぁあ゙あ!!!どぼじでえ゙ええ゙ええ゙っ!?!?!?」 他の赤ゆっくりと違い、赤まりさの目は開いたままだった。 完全に光を失いながらも、その瞳は親れいむを睨みつけていた。 「あ゙ぁああ゙ああ゙ぁあああ゙ああ゙あ゙あ!!!!!!ごべんねええ゙ぇえ゙ええ゙っ!!!ごべんねぇええ゙え゙!!!おがあ゙ざんをみらいでえぇえ゙え!!!」 狂ったように嘆き叫ぶ親れいむを置いて、男は部屋を後にした。 「ぁあ゙あ゙・・・・あ゙ああ゙あぁ゙あ゙あ゙ぁぁ・・・」 外へ通じる扉を開け放したまま。 しばらくして男が部屋に戻ると、そこに親れいむの姿は無かった。 床には赤ちゃんゆっくりの死骸も見当たらない。 食べたのか持ち帰ったのか、男にはもう興味のないことであった。 それから数日後、農家の男性が1匹のゆっくり霊夢を発見した。 どうやら洞窟の中で赤ちゃんを育てているようだった。 男性は、そのれいむがエサを探しに行っている間に赤ちゃんを捕獲ようと、洞窟に入った。 だが中にいたのは、真っ黒になって腐っていた9匹の赤ちゃんゆっくりであった。 帽子やリボンがあったので、かろうじて赤ゆっくりだと判断できた。 不気味に思い、洞窟を離れたところで親のれいむが帰ってきた。 様子を伺っていると、洞窟の中かられいむの歌が聞こえたり、赤ちゃんにご飯を食べるよう促す声が聞こえてくる。 男性は気味が悪くなり、その場から逃げたのであった。 それからさらに数日後。 男は書斎で、一冊の本を手に取った。 「お、また来てる」 文庫本ほどの大きさ。 今もこの世界や別の世界で、ゆっくり達が虐待されている。 その様子を自動で小説に変換し、ページを増やす、魔法の本。 男はこの本に影響されて、ゆっくり霊夢を虐待することに決めたのだ。 本に登場する赤ちゃんゆっくりは、大抵我侭で口が悪く、生意気で浅ましい。 男の経験でもそれは正しかった。 親を親とも思わないものばかりだ。 そんな物語を読んでいた男は、赤ゆっくりをゆっくりさせることなくその命を散らせてやろうと思ったのだ。 まったく関係のない親れいむにとってはいい迷惑である。 「・・・これ、俺じゃん」 新しいページには、赤ちゃんゆっくりの口を焼く男の話が載っていた。 どう読んでも自分のことである。 「あー、新作まだかなー」 男は本を棚に戻すと、たまった鬱憤を晴らすため、今日も森へと足を運んだ。 作:アルコールランプ? このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3732.html
※虐めじゃないかも 俺はゆっくりが嫌いだ 作者:古緑 俺はゆっくりが嫌いだ 俺にゆっくりする気なんて無い 朝から晩まで仕事で忙しい身だ でも別に殴ったり蹴ったりしたいわけじゃない 嫌いなだけだ 餡子嫌いだから食うのも嫌いだ 「ゆっくりしていってね!」 この台詞も好きじゃない どんなゆっくりも同じことを言う 俺の趣味はバスケットボールだし ゆっくりしたものはあまり好きじゃない 「こわいかおしてないでゆっくりしてけばいいのに」 こいつはどっから入ってきてんだよ ゆっくりれいむだか何だか知らねぇが そこは俺んちの庭だ お前の『ゆっくりプレイス』じゃないんだよ 何も無い庭だけどお前みたいなのがいると鬱陶しい 出て行け 「ゆっ?ゆっくりしていってよー!」 ほら!出て行け!まったく ああいうのが『ゆっくりの押し付け』ってヤツか ゆっくりしてる暇なんてないんだよ 今日はとっとと寝たいんだ 「おじさんをゆっくりさせるよ!」 …また入ってきたのか 門はしっかり閉めた筈なんだがな どうでもいいが俺はまだお兄さんって歳なんだよ いいや、こんなのに構ってる暇は無い 「ゆっくりしていってね!」 もう放っておく どうせ雨戸を閉めちまうんだ しつこいゆっくりセールスに付き合う気はねーよ じゃあな押し付け販売員 「おふとんでゆっくりしていってね!」 デカイ声だ 春が近いとはいえまだ朝は少し冷えるな 古い鉄の雨戸は冷たくて指が凍えそうだ 「ゆっくりしていってね!」 …何のつもりなんだおめーは 今都市部で話題の乞食ゆっくりか? だったらここに来たのは間違いだ 家には碌に飯なんて無いんだよ わざわざ乞食にやる気もないからヨソあたんな 「おじさんはよゆうがないね!」 家出るときついでに摘み出しとくか 鬱陶しい生物だ それにしても本当に余裕ないな 朝飯は駅前のコンビニでランチパックかな 「ゆっ?ゆっくりはなしてね!」 おい二度と家の門くぐんじゃねーぞ 帰ってきた時またそのツラ見せたらブン殴ってやる 「ゆっくりしていってよ…」 やっぱり俺はゆっくりが嫌いだ 変なのに構ってたせいでいつもより遅れてるじゃねぇか 急がないと 「なかなかとかいはなまりさね!す…す…すっきりしましょほおぉおお!」 「やべろおおぉおお!!れいばーあでぃずはゆっくりじねえぇえぇ!!」 あの野良ゆっくりありす まだ生きてたのかよ 散歩中の飼いゆっくりに襲いかかってやがる 「ばでぃぶっ!」 あ蹴られた 本当に見苦しい生き物だな あんなのまでいるからゆっくりは嫌いだ うあぁ疲れた 帰って柿ピービールが平日の唯一の楽しみです 「ゆっくりおかえりなさい!ゆっくりしていってね!」 「むししないでね!」 てめーどっから湧いてきてんだ不思議生物の特権か ブン殴るって言ったの忘れたのか 「おぉこわいこわい」 『プシュ』あぁイイ音 ん?やらねーからとっとと失せろ 家ん中には入れねーぞ 一歩でも入り込んだら蹴りくれてやる 「つんつんしないでゆっくりすればいいのに」 舐めてんのか?二度とここまで来れねーように 今度は車で 「おじさんをゆっくりさせるよ!」 …だいたいそのゆっくりって何なんだよ? それに俺をゆっくりさせるって昨日も言ってたな? 「ゆっくりはゆっくりだよ! おじさんはあさからばんまでぜんぜんゆっくりしてないね! たまにはゆっくりしなきゃいつかゆっくりできなくなっちゃうよ!」 お前がいると駄目だわ ビールが全然旨くねぇ 明日の朝一で町外れの山まで車で捨ててきてやる それがヤなら今夜中に失せるんだな 「ゆっくりよるをあかしていってね!」 やらねーと思ってんのか ナメやがって やっぱり俺はゆっくりが嫌いだ ぽつぽつと大きくなる屋根を叩く音でふと目が覚めた まだ午前二時だ 明日の朝は雨かな もうザーザー音がするぐらい強い雨に変わってる まぁどうせ車で行く気だしどうでもいいや あのウザイ饅頭生物載っけてかなきゃだし そんな事を寝ぼけた頭で考えてると あのウザイ顔が困ってるような気がした 『ゆっくりは水に弱く雨に当り続けると死んでしまいます』 そんなどこかで聞いたような言葉が頭の中に浮かぶと 俺は布団から飛び起き 一階の雨戸まで急いで駆け下りていった 「オイ!」 「ゆっくりしてないねおじさん れいむはゆっくりできてるよ」 困った顔はさっき頭に浮かべた顔そのままだった 雨戸の外に雨を避ける場所は無く ゆっくりれいむの釣り上がっていた眉はハの字に曲がり リボンはびしょびしょになって濡れた髪に垂れていた 「………」 「ゆっ?」 俺はゆっくりが嫌いだ だけどその命そのものが嫌いなんじゃない 死にかけた命が目の届くところにいたら 手を貸してやりたいと思う事はきっと悪い事じゃない その命を助ける事で誰かが困る事もあるのかも知れない だけど命を救いたいと思う事自体はきっと悪い事なんかじゃないはずだ コイツの場合だったら玄関先を貸してやる事ぐらいいいだろう 起きたら雨は上がっていた 時計は7:35を示している あのウザイ生き物に関わっていたせいか 早起き出来なくなってる気がする こっから車で外れの山なんて行ってたら完全に遅刻だ 「ゆっくりしていってね!」 はいはいゆっくりゆっくり そりゃ挨拶なのかお前等の場合 なに我がモノ面で家の中跳ねてんだよ 昨晩拭いといて良かったわ 雨が上がったんならとっとと出て行きな 「おそとでゆっくりしていくよ!」 さてそろそろ行かなきゃな お日様も出てるし、たまにはバスなんか使わず駅まで歩いてくか まだまだ間に合うだろ 「ちょっとはゆっくりできるようになったみたいだけどまだまだだね!」 なんか満足そうだなお前 コイツどうしよう? まぁそのうちどっか行くだろ ゆっくり考えてきゃいいや それにしても生意気なヤツだ やっぱり俺はゆっくりが嫌いだ 寒いから帰りはバスにした 柿ピーとビールの補充は忘れない 明日は休みだしアイツに影響されたワケじゃないが たまには家でゆっくり過ごすのも悪くないだろう 「ゆっくりしていってね! おじさん!あしたはゆっくりするんでしょ?」 すっかり庭に居着いてるなお前 ゆっくりの事は嫌いだし追い出してやろうと思ってたが こいつの騒音で文句言うヤツはこんな田舎にはいないし 家に帰った時誰かが声をかけてくれるのは悪くない ペットなんてつもりは更々ないが ただっ広いだけの庭に勝手に生かしておくぐらいいいだろ 疲れてっからもう雨戸締めて寝るぜ 「あまどさんこんばんわ!ゆっくりしていってね!」 馬鹿だなアイツは AM 10:00 完全に影響されてるな でも悪い気はしない どうせ今日はゆっくりしようと決めてるんだ 飯でも買いにいくか 「ゆっくりしていってね!」 はいはいゆっくりゆっくり …そういえばこいつと時間を気にせず顔を合わせるのは初めてだな 俺はゆっくりが嫌いだが話をするのが嫌いなワケじゃない ちょうどいい機会だし色々聞いてみるか お前さ、何で俺につきまとうんだ? 「なんどもいわせないでよね! おじさんをゆっくりさせるためだよ!」 それについては癪な事だが成功したようだな 本当に変なゆっくりだな 人をゆっくりさせようとするゆっくりなんて 古過ぎるゆっくりはもう化石レベルだぞ なんでそんなに人をゆっくりさせたがる? 「だれかをゆっくりさせるとれいむもゆっくりできるよ …それにこのせかいのみんなはゆっくりしてないよ」 この世界?お前はどこから来たっていうんだ? 「れいむはやまでゆっくりしてたら いつのまにかここにいたよ」 何言ってんだお前 ゆっくり語は理解出来ないね じゃあお前、どうしてこんな何も無い庭に住み着いてんだ? 何も食うもんないだろ? 「くささんもむしさんもたくさんいるよ?」 あぁ…手入れしてないからな そんなモンでいいのかよ 都市部の奴等で草なんて食うヤツはもういないのに お前好きなモノとかあるのか? 「ゆ?れいむはゆっくりするのがすきだよ!」 そうじゃねぇよ 食べ物ってことだ 今まで食ってきた中で一番旨いかったものとか、 あるだろ? 「だったらたいやきさんだね! でもかんたんにはてにはいるものじゃないよ! さとまでいかないともらえないものだからね!」 あっそ ちょっと出かけてくるわ 「おじさん!」 なんだよれいむ 「いっしょにゆっくりしようね!」 別にアイツが好きって言ったから 鯛焼きを買ってきてやるワケじゃない 俺は餡子の詰まった鯛焼きが大好きだからな 一つぐらい買って分けてやるぐらいならいいだろ それにしてもところどころワケの分からないヤツだ やっぱり俺はゆっくりが嫌いだ でも悪くない あんなに自然体のまま誰かと話すなんて 母が死んで以来かもしれない 鯛焼きなんて買うのは産まれて初めてだ スーパーの先に屋台があるからついでにそこで買ってくか ゆっくり歩いていこう それがさっきまでの事 今俺の目の前には頭から蔦を生やし 真っ黒になったゆっくりれいむがガラス窓の前で横たわっている かつての笑顔は苦悶の表情に変わり全く動かない ガラス窓の前で死んでいたのは家を守ろうとしてくれたのか? 抱き上げるともちもちと弾力のあった体は端の方からポロポロと崩れ落ちていった 呆然としたまま庭を見ると叢の陰に隠れた木製の塀に ゆっくりれいむぐらいの小さな穴がある ずっと庭なんて見てなかったから忘れてたが 俺が子供の頃に蹴って開けた穴だ いくら追い出しても入ってくるワケはこれだったんだ 『これ』をやったヤツもここから入ってきたんだ どうしてゆっくりれいむがこうなったのかは分かってる ゆっくりれいむの頭に成った黒い実の中に ゆっくりありすの実があるからだ この辺の野良ゆっくりありすなんて一匹しかいない さっきすれ違ったのがそいつだ 俺はゆっくりが嫌いだ 命を気紛れに奪う事は悪い事だと思っている しかし今から俺がやる事は間違っていないと思う 友を殺した仇を討つ事はきっと間違っていない 震える拳を握りしめ 仇の住処の公園に向かいながら俺はそう真剣に考えていた
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1568.html
ゆっくりディグダグ こんにちは、虐待お兄さんだよ!よければちょっと話を聞いて行ってくれるかい? この間、香霖堂に虐待に使えそうなものが無いかと冷かしに行ったんだ。 すると外の世界から流れ着いたと言う「アーケードゲーム」なるものが置いてあってね、 思いのほか面白くていい感じに小銭を持っていかれちゃったよ!うっかりうっかりw そんなこんなで幾ばくかのお金と時間を持っていかれてしまったものの、このゲームから新しいゆっくり虐待を思いついたんだ! 用意したものはこれ 空気入れ ゴムチューブ 銛 まず銛の側面に熱して溶かしたチューブを着けるんだ、この時空洞がつぶれない様に注意してね。 そうしたら後はチューブの反対側を空気入れに繋ぐだけ、これで今回の目玉は完成なんだ。ね、簡単でしょう? こうして出来た特性空気入れを持って、やって来たのは森の中。 なんでも噂によると、ここいらに最近よそから移ってきた群れがいるらしく人里の被害が増えてきているらしい。 かといって今は秋真っ盛り、農家は概ね収穫に追われて忙しく、ゆっくりなんぞに構ってる暇はない。 森の方でも木の実や山菜といった恵みに溢れているので、今のところ大きな被害は出ていないが それでも畑や人間の食べ物を狙ったゆっくりによる被害が増えている。 また、他所から新しい群れの介入がありゆっくりの飽和している森では、 晩秋の冷え込みも手伝いもう一月もしないうちに恵みは消えるだろう。 そうすると、食べ物を求め人里を襲撃してくることも考えられる。 それを迎え撃つのもおもしろそうだが、人間が饅頭ごときに多少なりとも被害を被るというのも癪なので 今回の試作品のテストもかねて、多すぎるゆっくり間引きをしにきたんだ。 「さて、饅頭の群れはどこかな?・・・・・お」 そうこうしていると柿を咥えたゆっくりれいむを見つけた。 「ゆゆ!もっとあつめないとゆっくりふゆをこせないよ!れいむたちのおなかをすかせるなんてゆっくりできないもりだね!!」 何やらプンプンと口で言いながらちんたら跳ねるクソ饅頭、潰したいの我慢して後をつける。 おそらくこのまま巣へと帰るのだろう、そこを突き止め一網打尽にしてやろうじゃないか。 しばらくつけると、れいむは洞窟の中に入っていった。 この洞窟はそこそこ大きく、人間でも楽々と入ることが出来るほどのものであった。 (さて、中の様子はどんなもんかな・・・) とりあえず、僕は入り口から様子を探ることにした。 「ただいま!ゆっくりかえってきたよ!」 「「「おかえり!ゆっくりしていってね!」」」 (お帰りの後にゆっくりしていけって、言葉としてどうなんだ) などと心の中で突っ込んでみたり。 帰ってきたれいむを囲むのは数多のゆっくり達、ざっとみて200はいるだろうか。 「たべものがなかなかみつからないよ!このもりはゆっくりできてないね!」 さっきのれいむがほざく。 「ゆゆ!まえのおくのほうもたべものがなくなったし、まったくゆっくりできないところだぜ!」 それに答えてほざくのはまりさ種か、相変わらずふてぶてしい顔してんなぁ。 「せっかくにんげんのさとのちかくまできたのにゆっくりしてないね!ぷんぷん!」 「でもこのままだとふゆがこせないんだぜ!?どうするんだぜ?ドス!」 そういわれて奥から現れたのは2mほどのまりさ、ドスと呼ばれているが微妙な大きさである。 『ゆふぅ・・・こうなったらにんげんからもらうしかないね!』 「そうだね!にんげんだけおいしいものいっぱいたべてるなんてずるいもんね!」 「ずるいにんげんはゆっくりしないでゆっくりしぬべきなんだぜ!」 「ドスがいればにんげんなんていちころなんだぜ!」 洞窟内ではドース!ドース!と大合唱が起こっている。 ここで話をまとめると もともとこの群れはもっと森の奥のほうで生活していたらしい。 しかし、節度をしらない暴食を繰り返してきた結果、食べ物が枯渇してしまい人里近くまで移ってきたのだろう。 ここで、学習して食料計画を立てれば二度困ることもなかったのだろうが、そこは餡子脳、無理な話である。 またもや暴食を繰り返し、新境地でも食糧難に陥っているようだ。 しかも、この群れのリーダーのドスまりさは見るからに若い。 その若さからくる愚かさが群れ全体の暴挙に拍車をかけているのだろう。 現に森の食料が尽きそうな今、人間の里を襲おうなどとほざいてらっしゃる、だらしねぇな。 そんなこんなで、このあほぅ共の総意は人里を襲うに至ったらしい。 我ながら調度いい時に来たもんである。 「こんにちは!ゆっくりしてるかい?」 「「「ゆゆゆ!?にんげん!?」」」 「ここはれいむたちのおうちだよ!にんげんはゆっくりでていってね!」 「ゆっくりしたかったらまりさたちにおいしいごはんをよういしてね!それがいやならさっさとしんでね!」 何という上から目線、数が多くドスもいるから強気になってるのかね。 まぁこれくらい活きがいいほうが虐待のしがいがあるってもんさ☆ 「まぁまぁそう言わないで、仲良くしようじゃない・・・か!!」 ピューイ 「ゆぎゅっ!?」 僕の投げた銛が柿れいむにぶっささる。うん、いい感じだ。 「な”に”ずるのおおおぉぉぉ!?!」 「「「れいむ”ぅぅぅぅぅ!!!」」」 暴れているが返しが食い込んでぬけないようだ、そこですかさず空気を注入しはじめる。 「ゆきゅぷぷっ!?」 ポンプの動きに合わせてれいむがビクビクと痙攣し、それに伴いその体は膨らんでいく。 「ゆっくりしないでさっさとやめてね!」 「ひどいことするじじいはとっととしね!」 まわりの饅頭が何やら叫んでるが気にしない。 「あとでお前らもやってやるからゆっくりまってなって(笑)」 僕が爽やかなスマイルを向けている間にも、れいむはどんどんと大きくなっている、もう声を出すのも辛そうだ。 目は真っ赤に充血し大きく飛び出して、皮もピチピチに張っている。あまつさえ口の端からは黒っぽい泡を吹いている。 そして一際大きく目を見開いた次の瞬間 「ゆべちゅっぽっっ!!」 一言残してれいむは破裂した。おぉ激しい。 周りにいた群れの仲間達は、飛び散った饅頭片を浴びて固まっている。 と、しばらくして 「「「・・・・・ゅぅがあああああぁぁぁぁぁああぁぁぁ!!!???!!」」」 ようやく目の前の事態が理解できたらしい。ふむ、どうして中々ゆっくりしてるじゃないか。 「「「ゆ”があ”ぁぁ!!よくも”れいぶをぉ!!」 れいぶって誰だよ?とりあえず耳がキンキンしはじめたので銛を投げることにした。 ピューイ 「ゆゆ!?どこに投げてるの?」 「まりさたちはこっちだよ!!へたくそなじじいだね!!」 僕の放った銛はゆっくり達のはるか頭上高くへと飛んでいったのだ。 しかし別に外したわけじゃない。お兄さんはべ、別にノーコンなんかじゃないんだからね!! ガチン 「「「ゆ?」」」 突如頭上から音がし、確認しようとゆっくり達が上を向いた瞬間 「「「ゆげべぇぇぇぇぇぇええぇぇえぇ!!?!!?」」」 落ちてきた天井によりプレスされてしまった。 ひーふー・・・15,6匹ってところかな、結構高得点じゃね!? そんなこと考えてるお兄さん、どうみてもゲーム脳です、本当に(ry 「ゆぎゃああぁぁぁぁぁぁあぁぁ!?」 「どうなってるのぉぉぉ!!」 残りの奴らも動揺してるな、いいねぇいいねぇ、お兄さん乗ってきちゃうよー(笑) 『ゆゆ! みんなゆっくりどいてね!ドスパークを使うよ!』 お、立ち直りが早いあたり曲がりなりにもドスってか、やるじゃぁないか。 「ゆ!ドスならこんなにんげんらくしょうだよ!」 「まりさたちをおこらせたことをゆっくりしんでこうかいしてね!」 ドスの一言でさっきまでの事もなんのその、周りの雑魚もゲラゲラとまぁ余裕でいらっしゃる。 しかし、こいつらが強いわけでもないのにえらそうだなぁー。 『ゆふん!ここは狭いからよけるところは無いよ!ゆっくりドスパークを浴びて苦しんで死ねぇ!!』 チャージしながら喋るとは器用なやつめ、もう勝った気でいるみたいだがそうはいかん!! 「っせいやぁ!!」 『ゆごおぉぉっつ!!??』 放った銛がドスまりさのどてっぱらに深々と突き刺さる! 『ゆぐぅ!こんなんじゃまりさはやられないyぷぷ!!?』 たしかにデカイ体にただ銛を刺したところでダメージは微々たるものだろう。 だが、こいつは只の銛ではない! 空気を注入することの出来るナイスで素敵でブリリアントな銛なのだっっ!!! 『う”ゆ”っ!う”ゆ”っ!う”ゆ”っ!』 「「「どずぅーーーー!!!」」」 僕が空気を入れるたびに体は痙攣し膨らんでゆく。つか周りの奴ら誰も助けようとしないのな。 いくらドスとはいえ、こうなってはドスパークは放てないらしい。 『ゆきゅっ! なんべっ! ごんっ! なことぉうっ!?ずる”の”ぉ”っ!?』 「なんでってドスパーク撃とうとしたのそっちじゃないか。それに君達は人里を襲おうとしていただろう?」 プシュー・・・ どうも会話しずらいので、一旦ドスに溜まった空気を抜いてやる。 『ゆかっ!!ぜっ!はっ!ぜっ!ひゅう、ひゅう・・・』 ふむ、落ち着いてきたかな? 『だっで、人間さんに食べ物貰わないと冬がこせなかったんでずぅぅぅ!! じがだながっだんでずうぅぅぅぅ!!!』 「そうなったのは君達が後先考えず、目先の食べ物を食べ尽くしちゃったからだろ?こうなったのも自分達のせいだよ。 それにもっと解りやすく言うなら、僕らも君達に襲われてゆっくり出来なくなると困るからね。ゆっくり理解してね!」 シュコシュコ・・・空気を再注入する・ 『も”ぅ”っゆ”べっゆ”る”じでっくひゃっくらひゃんっ!!!』 プシュー・・・抜く 『ゆ”も”も”も”ももも!!??』 シュコシュコ・・・入れる 10分ばかし繰り返すと流石に飽きてくる。 「じゃ、飽きてきたからそろそろ終わりにするね!」 『ゆ”ぎゃっ!!やめt・・・ぷわっぼっっるんっっっ!!!???』 ばちゅぅんっ!!と一際大きな音を立ててドスは弾けた! 「汚ねぇ花火だなぁー。」 「「「っぽっぱーい!!!??」」」 誰がホウレン草大好きっ子だよ。 「ゆっぐぐ、おにいさん!ひとざとをおそおうっていいだしたのはドスなんだぜ!!」 「ゆゆ!そうだよ!れいむたちはドスにむりやりめいれいされてしかたなかったんだよ!!」 出たよ、ゆっくりの十八番。これじゃドスも報われねぇなぁ。 「そっかぁ、ドスが君達を脅していたのか。それはかわいそうだったね。」 「そうなんだよ!だかられいむたちはゆっくりみのがしてね!」 「そしてまりさたちに、ふゆのあいだゆっくりできるごはんよういしてね!」 もう調子に乗り始めていらっさる。おお、はやいはやい。 「・・・でもね、君達があのドスを選んでここまでついて来たんだよね?」 「「「・・・ゆぅ?」」」 「・・・・・・・・・ゆっくりしんでいってね☆」 「「「ゆぎゃああぁぁぁぁぁぁ!!???」」」」 数十分後 「すっきりー☆」 今回の虐待?もなかなかのものだったね! おまけにゆっくりの集めていた食料の中には柿など人間が食べられるものの他、松茸のような高価なものまであった。 ベジタブルボーナスゲット!! こいつは高得点だぜぇ!!! これらは頂いておいたが、他の木の実や山菜は残しておいたから、ゆっくりが無闇に人里を襲うことはないだろう。 こうして僕は満足して帰路へとついたのさ。 香霖堂にはまだまだたくさんのゲームがあって、インスピレーションはまだまだ溢れまくりさ! 長い話を聞いてくれてありがとう、僕はちょっとゲームをしてくるよ! よければ君も一緒にくるかい? 終われ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/330.html
ご注意 ※一部独自解釈を含みます。 ※今回はあまりゆっくりを虐待していません。 それでも宜しければ、お楽しみ頂ければ幸いです。 魔法の森からそう遠くないとある丘の一角に、人間の里を見下ろすように立つ屋敷 そこにはちょっと変った男と、ちょっと変ったゆっくり達が住んでいました。 そしてその屋敷の扉には、こう書かれた看板が下がっていました。 「ゆっくり改造工房 ここだけでしか手に入らないゆっくり、お作りいたします 品種改良から整形、改造、インテリア、能力強化まで」 マイスタ ゆっくり改造職人のお話 「ちんちーん」 一番鳥が鳴く声で男は目を覚ました。ゆっくり職人の朝は早い。 しかし何時聞いても酷い鳴き声だな……声の質自体は良いんだけれど。 ブツブツ呟きながら洗顔と支度を済ませて居間に下りると、既に彼の助手が食事の支度を終えた所だった。特徴的な耳がゆらゆら揺れている。 「あ、師匠、おはようございます」 「おはよう。あのゆっくり目覚ましの声、なんとかならないの?朝っぱらから卑猥なんですが」 「改造したの貴方でしょうに……ゆっくりみすちーなんか素材に使うからですよ」 「アイディアは良かったと思うんだけどなぁ」 苦笑する助手と漫才しつつ食事を取る。 「そういえば、この前作った試作型四足歩行まりさですが」 「おお、アレは跳躍行動を止めさせるのにえらく苦労したっけなぁ。行動半径が広がったから野外牧場に移してたが、どうだ調子は?」 「全員死んでました。機動力を生かして夜のうちに柵を飛び越えて逃げようとしてたはいいものの、着地を考えておらず 地面に激突して骨折した所をそのまま野生動物の餌になったようです」 「Oh…………」 食事が終わると、助手とともに多目的ゆっくり飼育場の様子を見に行く。 「むっきゅ~~!親方、おはようございますなの!」 「むっきゅ~~!今日もお仕事がんばりますなの!!」 「おはよう、もう他のゆっくり共の朝の餌やりは済んでいるな?じゃミーティング始めるぞ」 出迎えたのは10匹のゆっくりパチュリーだった。一般的にゆっくりパチュリーは体が弱い脆弱種となっているはずだが ここにいるパチュリーは全員が野生種の数倍体が大きく、血行の良いなんとも精悍な体つきをしている。 話す言葉も聡明であり、腰?には反抗的なゆっくりを制裁する為の警棒、帽子には彼女等の地位と権力を示すバッジがつけてあった。 彼女たちは男が、飼育所管理用に特別調教したエリート達である。 ゆっくり改造には、生きた状態の大量多種類のゆっくりが必要となる。 改造のメインボディーとなるゆっくりだけではなく、パーツ移植用、練習用、研究用に体質変化の為の飼料用など、膨大な数のゆっくりが使われるからだ。 それら全ての世話を、彼と助手だけで行うのは時間的に厳しく、かといって沢山人を雇う余裕も無い。 そこで考えたのが、ゆっくり種の中でも体は弱いが比較的頭がよく、雑務を命令するのに適したゆっくりぱちゅりーの教育であった。 まずは薬物と手術で強制的に巨大化、長命化させたゆっくりぱちゅりーを使い子供を大量に養殖、 そして生まれた数多の子供の中でも特に知性が高く従順なものを選び抜き、特別訓練を施す。 特別な栄養を与え、筋トレをさせ、ゆっくり飼育場に必要な多種多様の知識、特に他のゆっくり命令を出す為の帝王学を学習させる。 その中でノルマを達成すればよい食事を与え可愛がり、成績が悪ければ拷問を、命令に従わないものには死を与えることで、主人への一層の依存と忠誠心を植えつけた。 それが終わるといよいよ最終試験として、訓練済みぱちゅりー達を当時の収容所……もといゆっくり飼育場に放り込み、彼女等以外の全ゆっくりを完全に命令に従う状態にするよう命じた。 当然ゆっくりたちは猛然な反発をし、ぱちゅりー側にも相当な犠牲が出たが 訓練済みパチュリーたちは強い団結とナチス顔負けの恐怖政治で反対勢力を無力化し、とうとう飼育場を完全にその支配下に置くことに成功した。 こうして飼育場は修羅場を潜り抜けた歴戦のパチュリーたちによって管理され、労働力の問題はようやく解決されたのである。 「じゃぁ今日の仕事を伝えます。パチュリーA、B、Cは通常通り、部下と一緒に飼育場の清掃と給仕をお願い。 D、Eは農園の管理。最近野菜の数が合わないわよ、犯人を捕まえて見せしめで殺しなさい。適当に下手人を立ててもいいわよ。 F、Gは野外農場と家の周りの清掃。使う労働力は適当に見繕って。 Hは人体実験済みゆっくりの経過記録、Iはロボトミーれみりゃ軍団をつれて森の罠の回収に向かって頂戴 J、貴方は私と一緒に家内の清掃よ。 以上、解散!」 助手の掛け声とともに、パチュリーたちは一斉に持ち場に散っていった。 一通り飼育場を見て周ってから母屋に戻ると、助手が本日最初の依頼者を案内してきた。 見た目は40を過ぎた位の裕福そうな男。話を聞くと町の実業家だそうだ。 「それにしても珍しいですね。ゆっくり加工場にも永遠亭にも属さずに、個人でゆっくりの改造を行っているとは。」 「私は商売人でも研究者でも無く職人ですからね……まぁ半分は自己満足みたいなものです。 予算と時間さえ頂ければ、大抵のゆっくりは作って差し上げますよ。一体どのような改造をお望みですか?」 「それは……」 実業家氏は暫く口篭っていたが、やがて意を決したように言った。 「実は私の愛するゆっくりれみりゃの肉体を、できるだけ人間に近く改造したものが欲しいのです」 「HENTAI目的ですね。わかります。」 慎重に言葉を選んだ実業家の努力を、男は爽やかにブチ壊してくれた。 「い、いやわわたしは何も……」 「そう恥ずかしがることでもありません。実際人間タイプのゆっくりの改造を希望される方は、9割方性行為も視野に入れた愛玩が目的ですからね。 人として自然な欲求ですよ。比較的プラトニックなものから非常にサディスティックなものまで、その程度は様々ですが」 淡々と男は説明する。もっとも彼自身にはそういう趣味は無い。 だが彼のその言葉で、男性の心の殻は必要以上に破れてしまったようだ。 「そ、そうですよね!私は決してアブノーマルなんかじゃ無いですよね!それなのに世間一般の奴等はこぞってそういった趣味の人間を危険人物のように…… 大体少女愛や獣姦は太古から行われてきたことで、そのオルガズムは……」 「(うわ……地雷踏んじまったよ……)」 男の後悔をよそに実業家の熱弁は止まらない。そのまま10分近く演説を聴かされた所で、助手が盆を手に部屋に入ってきた。 「お茶をお持ちしました…………ごゆっくり」 「あ、こりゃどうも……」 罰の悪そうな表情で湯飲みを受け取る実業家。助手は笑顔で二人に一礼すると静かに部屋を出て行った。 「あはは、可愛い方ですな……ひょっとして奥さんですか?」 「ご冗談を、ただの助手ですよ。」 「……私達の会話、聞かれてましたかね?」 「多分」 気まずい空気を振り払うように、二人は改造仕様の具体的な協議に入った。 身長は原型のままでよいか? Aよい。ロリコンこそ正義 体型は? A歳相応に健康的に、だが胸は膨らみかけで 爪の移植は? A無くてよい。爪きりめどいし 髪の色は?顔の輪郭は?足の長さは?etc etc etc…… 大まかな注文が纏まると、男はそれを元に必要予算の見積りを出す。 提示された金額は、依頼者には払えぬほどでは無かったが、幻想郷の物価からすれば相当な高額であった。 「むぅ……少しお高いですな。」 苦言を呈す実業家に、男は反論する。 「お言葉ですが、ゆっくりというのは生物学的に見て、普段我々が思う以上にデリケートで予測困難な存在なのです。その施術の難しさは計り知れません。 単にゆっくりを切り刻み、肉体をくっつけるだけなら子供にでも出来ます。 しかし技術と欠いた手術は術後も傷跡が残ったり、施術した部分が歪んで再生したり、壊死したりと時間の経過につれて問題が噴出します。 そして何より、ゆっくりの潜在的な寿命を大きく縮めてしまうのです。 私が高額の料金を取るのも、そのような悲劇を防ぐ為に入念な下準備をおこない、最高の素材を用いた上で施術を行うからです」 「しかし、実際どの程度劇的な差ができるものかは……」 未だ渋い顔をしている実業家に、男は頷いて言った。 「まぁ言葉だけでは実感が沸かないとは思います……。では、サンプルをお見せしましょう おーい、キモ子!」 手を叩いて助手を呼ぶ。程なくして先程お茶を運んできた少女が、耳をピョコピョコ揺らしながらやってきた。 「お呼びですか師匠?あと次にその名前で呼んだらブン殴ります。Please call me レイセン, OK?」 「いや、かといってその名前は色んな意味で不味い気がするんだが……特に永夜ファン的に…… それはそうと、お客さんがお呼びだぞ」 「いや、私は人間型ゆっくりの改造サンプルを見せていただけると聞いただけで……」 困惑する実業家を前に、レイセンと名乗った少女は自分を指差すとニコニコ笑いながら言った 「でしたら、ここに。お疑いでしたら試しに触ってみてくださいな」 「いやいやいや(サワサワ)……ん(サワサワ)……え………うそぉん!!」 差し出された手を握ったまま、思わずのけぞった実業家を素早く支えつつ、男が話しかけた。 「はい、素晴らしいリアクションをありがとうございます!ええ、間違いなくゆっくりですよ。私の最高傑作です。 元々彼女は超特別製でしてね……迷いの竹林の奥深くにあるとされる永遠亭 そこでしか確認できない希少種『ゆっくりうどんげ』の中の、更なる突然変異『きもんげ』なのです。」 まだ口をパクパクさせている依頼者を横目に、男は説明を続ける。 「突然変異故、生まれつきゆっくりらしからぬ非常に高い知能を持っていたものの その顔面があまりにも、殺人的に、ウザくて不細工だった為に、仲間のゆっくりからも屋敷の住人からもひたすら嫌われ、いぢめられていました。 とうとう拷問の末処分されるというその一歩手前の所を、私が頼み込んで譲って貰ったのですよ。 それから半年程かけて、私の持っていた全ての知識と技術を投入し、整形手術を行い 見事『全米ブサイクな兎コンテスト』優勝候補だった彼女を、美少女として蘇らせることに成功したのです!」 苦笑いしている助手の肩に手をおいて、男は胸を張る。それは手塩にかけた自慢の娘を紹介する父親のようだった。 「しかし信じられない、どう見ても人間そのものだ……」 実業家の言うとおり、少女はどう見てもゆっくりには見えなかった。 身長も体型もゆっくりの胴長短足とは程遠いスレンダーなもの、そのくせ出ている所はしっかり出ている。 顔は睫毛から耳の形まで完全にモデルとなったであろう月兎の美少女を再現しており、実際に肌に触れてみない限り誰もゆっくりとは気付かなかったであろう。 「まぁ家一軒は余裕で建てられるほどの金を費やしましたので……素材も墓からにんg……ゲフンゲフン ともあれ、ダッチワイフもどきに金を捨てたと親族には罵られ、婚約者には逃げられましたが、結果には満足しています。」 苦笑する男、しかしその話を聞いた依頼者の態度は明らかに変わっていた。 「感動しました、貴方は男の夢の体現者だ!是非とも私にもその力をお貸し下さい、お願いします!!」 「解って頂けましたか。」 二人の男は堅い握手を交わし、その後つつがなく商談は成立した。 「……なお、体型等はなるべく其方の要望通りに作らせて頂きますが、顔についてはオリジナルに若干のアレンジを加えさせていただきます あまりに紅魔館の主そっくりに作ってしまいますと、万が一本人の目に留まった場合ほぼ確実に殺されますからね」 「なるほど……承知しました。」 実業家が帰ってしばらくしてやって来たのは、男が暮らす家の一つ隣にある村の村長だった。 「これは村長、いつもお世話になっております。今日はどういったご用件で?」 「いやー、実は……」 村長の話は次のようなものだった。 最近、村の畑をゆっくりの群れが徒党を組んで荒らすようになった。 これまでゆっくりの被害にあったことの無かったその村では、慌てて柵を作ったり罠を張ったりして対策を練ったが そのゆっくり達は長く生きて悪知恵に長けているのか、罠は看破するわ柵は地面を掘って進入するわでまるで効果が無いのだという。 しかも夜更けなど人が畑にいない時間を見計らって襲撃してくる。毎日畑に見張りを出すわけにもいかず、村人全員弱りきっているのだか。 「と、いうわけです。何か良いお知恵はありませんか」 「なるほど。それなら丁度良いモノを作っていた所です」 そう言って、男は村長を飼育場の方に案内した。 「あーー、にんげんだー、こんにちはーー」 「あそんでくれるんだねー、わかるよーー!」 「ゆっくりしていってねー」 村長が案内された飼育場の一角では、数匹のゆっくりちぇんが遊んでいた。 男達を見つけるとぴょんぴょんと飛び跳ね近づいてくる。 元々性格の良い個体が多いゆっくりちぇん種だが、ここで飼育されているちぇんは特に人間への警戒心が薄いようだった。 「ただのゆっくりちぇんじゃないですか……こいつらを番猫にしろとでも?」 「まぁ見ていて下さいな」 落胆する村長を尻目に、男はあるものをちぇんたちの前に放り投げた。 「ゆっ!」 それは一匹のゆっくり霊夢だった 柵の内側に投げ込まれたゆっくり霊夢。最初は男達に文句を言っていたがちぇんたちの姿を見ると笑顔になってすりよっていく。 「ゆっ!おともだちがいるよ!ゆっくりあそぼうね!!」 だが、その姿を見たゆっくりちぇんたちの取った行動は、彼女の期待とは真逆のものであった。 「ゆっ!てきがおちてきたよっ!」 「ころすんだね!わかるよわかるよーーっ!!」 「さっさとしね!むごたらしくしね!!」 突然表れたゆっくりれいむに対して、殺気をむき出しにするちぇんたち 先程まで優しい光をたたえていた双眸は、れいむを睨むと大型肉食獣のごとく吊り上がり 歯を剥き出しにした所を見ると、その口の中にはゆっくりちぇん種には似合わぬ凶悪な牙がズラリと並んでいる。 更には体をぶるぶると震わすと、刹那、その背中からは歪な翼が飛び出してきた。 「「「ゆっくりしねぇ!!!」」」 「どぼちてぇぇぇ!!!gbふぁa」 声をあげると、ちぇんたちは一斉に哀れなゆっくりれいむに飛びかかった。 牙で裂き、翼でえぐり、その体に似合わぬスピードで踏み潰す。 男達の目の前で、れいむはあっという間に原形を留めぬ汚いミンチとなっていった。 「これがわが工房の『高機動ちぇんF型』です。」 唖然としている村長を横目に、男は解説を入れる 「通常、ゆっくり同士の生体間移植は同種でしか成功しません。 種族ごとに、彼らの体を構成する『餡』が異なり、別種のものを入れても拒絶反応を起こして壊死してしまうからです。 しかし例外的に、彼らの皮膚や歯、羽や洋服といったいわゆる『皮』で出来た部分は、組成成分が近いせいか拒絶反応が少なく、移植が成功する場合があります。 これらのちぇんは、まだ拒絶反応が少ない幼少のうちに歯を全て引き抜き、代わってゆっくりふらんの歯と翼を移植したものです。 施術を施したものの多くは拒絶反応によって死にましたが、一部はこうやって生き残りました。 その後も、ゆっくりへの凶暴性を高めるために餌にゆっくりふらんの血肉を混ぜて与え続けたり 餓死寸前になるまで干しておいてから、徐々に他の生きたゆっくり種を餌として与えるなどして 最終的にこのような優秀なハンターとなるまで鍛え上げました。ゆっくり狩りには最適ではないでしょうか。」 その後も男は死亡率を下げるべく切開面を少なくしようといかに工夫したか、翼と背筋餡の接続にいかに苦労したかを延々と語り始めたが、村長は既に聞いていなかった。 呆然としてゆっくりちぇん達を眺める。先程まで殺戮に興じていたちぇんたちは、今は何事も無かったかのように嬉々として助手の少女と戯れていた。 「しかし聞いたところ、一匹のちぇんを強化するにはかなりの労力と費用がかかる様子 元々弱いゆっくりちぇんをわざわざ改造して強くするよりは、れみりゃ種を捕獲して番犬代わりに使った方が良いのでは?」 と、気を取り直して村長が疑問を呈す。 貴方は何も解っていない。魔改造したジムでビグザムの群れを殲滅できるようにするのが男のロマンでしょうが! と、男が独自の美学に基づいて反論しようとする前に、改造ちぇんを抱えてひょっこりと助手が顔を出した。 「それについては、私からご説明させて頂きます。 ゆっくりれみりゃは捕食者としては優秀ですが、いかんせんゆっくりの中では1,2位を争う頭の悪い種族。 散々苦労して仕事を覚えさせても、ある日突然蝶々を追いかけていなくなってしまった、などというのもよくある話です。 一方ゆっくりふらんはれみりゃほど知能は低くないもののプライドが高く躾が難しい、 下手に暴力で言うことを聞かせようとすれば、自殺してしまうことすらあります。 そして何よりこの2種は希少種です。最近養殖モノが出回り始めたとはいえ、未だに一匹辺りの値段は高い。 その点この改造ちぇんなら母体のゆっくりは安価に手に入りますし、移植する羽と翼は一匹のゆっくりふらんからいくらでも手に入ります。性格も良く躾も簡単。 忠誠心と有用性、コストパフォーマンスの全てを備えたこの改造ちぇんこそ、次世代を担う番犬ゆっくりなのです!」 相変らず良く回る口だと、村長に立て板に水のセールストークを続ける助手を見ながら、男は呆れ気味に思った。 助手に迎えてから解ったことだが、この元きもんげは金儲け関連の仕事をさせると抜群に上手い。 彼女に言わせると「人間が金儲けに関して抜けすぎているだけ」だそうだが、本人に商売の素質があることは間違いないだろう。半分詐欺まがいの商売を発案することもあるが…… 職人としてのこだわりから、しばし将来性や採算度外視の仕事に走る男と足して二で割って、丁度良くバランスが取れているといえる。 とか何やら男が考えているうちに、助手と村長の間では 村長の家で暫く試用期間を設けた上で、効果が認められれば村を代表して正式に購入する、という話が纏まったようだった。 「可愛がってあげて下さいね」と手渡された改造ちぇんを大切に胸に抱え、村長は村に帰っていった。 結局その日、新たに職人の下を訪ねてきた客は二人 一人は自分の飼っていたゆっくりが大きくなりすぎたので、餌代節約の為にサイズダウンさせて欲しいという男 もう一人はペット用ゆっくりアリスの避妊を依頼してきた業者で、ダンボール一杯に子アリスを詰めた物を置いていった。 「4件か……まぁ多い方かな。今日は準備だけに留めて、施術は明日から始めるとしよう」 「最近仕事もコンスタントに増えてきていい感じでんなぁ。スケベパワー様々や」 「……その似非方言は止めろと言っているだろ、関西人に失礼だ」 すみません、と助手は舌を出す。たまに偽関西弁が出るのも彼女に言わせると「きもんげの特性」だそうだ。 みっともないから男も注意し、本人も普段は注意しているのだが、たまに気を抜くとつい出てしまうのだとか。 そういえばこの前家計簿をつけさせたときも、札をカウントしながら 「どんだけ中身が薄くても、タイトルに東方ってつけて表紙どんげにすればアホがぎょーさん買うていく。笑いが止まらんわぐっへっへ」 とかなんとか言ってたが、あれは一体何のことだろうか。 「……まぁ、一番手間がかかる施術さえ元々生命力の高いゆっくりれみりゃの改造だ。失敗の可能性は薄いだろう。 コツさえ知っていれば誰にでも出来る、大工仕事だよ……たまには難易度の高いパチュリーの改造等をしてみたいねぇ。」 「そんなこと言っていますが、顔は笑っていますよ?」 美しい顔にニヤニヤ笑いを浮かべて助手は指摘する。この辺の性格は改造前とあまり変っていないな、と男は思った だがまぁその通りだ、なんだかんだと文句を言いつつ、自分は明日の仕事を楽しみにしている。 改造は、楽しい。 子供が粘土で「ぼくだけのかいじゅう」を作るように、男は自分の思うがままにでゆっくりに手を加える。 ゆっくりの命を切り貼りし、肉体を繋ぎ合わせ、醜い部分を削ぎ、綺麗な部品を加え、新たな生命として蘇らせる。 命を媒介にして行う粘土遊び。命を弄ぶ行為、神への冒涜と言われようと、これほど面白い遊びはこの世には無い。 安定した収入を捨て、これを生業に選らんだことで失ったものも多かったが、男は微塵も後悔してはいなかった。 「とりあえず俺はパチュリーどもと夜のミーティングを済ませてくる。お前jは明日使う器具と素材を準備してくれ。それが終わったら飯だ。」 「了解しました、師匠!」 助手と別れて飼育場に向かう男の目は、まるで明日は何をして遊ぼうかと考えている子供のように輝いていた。 後編に続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1157.html
加工所の職員が主人公な話なのでオリキャラなんか嫌いだという人はまわれ右でお願いします また、自分のSSはすべて同じ世界として書いているので他の作品のネタとかが出てくる可能性もあります いろいろ叩かれそうな内容ですが意見、感想をくれれば幸いです あ、そうそう、この話に虐待要素はありません ゆっくり加工所 本来は捕獲されたゆっくりの食品加工や生態研究を行っている 現在ではペット用ゆっくりの販売、ゆっくりペットホテル、ゆっくり病院等の事業を始めており、外の世界では独占禁止法に引っ掛かりそうな勢いだ さて、作者の分身である私は加工所のゆっくり研究部に所属している お兄さんかお姉さんかはみんなの想像に任せる、SSの数だけ設定はあるが読者の数だけ設定があってもいいのだ このSSを読んでる人から見れば私はむしろ弟や妹になるかもしれないがそんなこと言うと収拾がつかなくなるのでもう言わない ゆっくり研究といってももうやることはなくなっていたのが実情だ ほとんどのゆっくりの生態は永遠亭の薬師さんや近年人里に住み着いた妖怪の虐待お兄さん達が解明してしまったのだ また近頃巨大化しすぎた加工所では経費削減のため大規模なリストラを計画しているらしい まったく、ふざけたことだ、リストラの本来の意味は急な社員の解雇ではないのに… だが、そのリストラ候補リストの一番に私の名前が入っていることを食品加工部の友人が教えてくれた 友人は 「芸無なんて変なことをやってるからこうなるんだよ」 とか笑っていた どうやら幻想郷育ちの彼には水没王子の良さは分からなかったらしい さて、なんとかならないだろうか? 外の世界では水没王子とかキュベレイうぜぇとかいうことしかやっていなかった そんな自分が今ここを首になったら再就職は難しいかもしれない 話では現在進行中の研究が終了次第リストラを開始するらしい、だったら立て続けに新しい研究を企画していけば首にならないで済むのではないか? 私はすぐさま部長の所へと向かった ゆっくりの生態、特に生物的な生態についてはほとんど解明されているといってもいい なぜ饅頭が生きているのかという根本的な部分は手つかずだがそんな研究は行わない ほっとけばいつか薬師さんあたりが解明するだろうしいつ終わるかもわからない研究に上は金を出してはくれない なので私はもう片方、ゆっくりの社会的な生態についてはわかっていない部分が多い 家族で生活すること、たまに群れを作ることは分かっている、だがそこから先はさっぱりだ 特に今回群れ同士の交流について着目した 彼らは加工所を怖がる 怖がるのは当然だが、なぜ加工所を怖がるのか、それがよくわかっていない 人里近くに住んでいる個体なら情報も入ってくるだろうがほとんど人が入ってこないような地域のゆっくりも加工所の言葉にがたがた震えだすのだ このことを考えるとゆっくりは群れ同士、何らかの形で情報交換をしていると考えられる そう考えれば生まれたばかりの赤ちゃんゆっくりが人間や加工場にたいしあまり恐怖を感じないこと ある群れを人間が壊滅させた時に他の群れが報復として畑を荒らしまわること (もしかしたら報復という名目の食料確保かもしれない) それらにある程度納得がいく 数日前まで上白沢先生の所にいたドスまりさに聞けば何かわかったかもしれない だが残念ながらあのまりさは子供を殺そうとした罪で処刑された後だ ゆっくり研究者のはしくれとしてはあそこまで知能の進化したゆっくりが意味もなく人間を襲うとは考えにくい が…終わったものは仕方がない 野生のゆっくり達の生態を調査するにあたって最初に調査方法をどうするかという問題が出てきた まさか山奥に入っていってゆっくり達に聞き取り調査をするわけにもいくまい 自分は管轄外でよくらないが加工所地下の共存区や、永遠亭地下施設など自然の環境を再現した飼育施設もあるがそれもだめだ まさか幻想郷なみに広いゆっくり飼育施設なんてないだろう、それに人の手のかかっていないところがいい 結局河童と人形遣いさんに協力してもらいゆっくりれいむ型ゆっくり調査ロボを作ってもらうことになった 設計は私、内装は河童のにとりさん、外装はアリスさん 最初はプログラムに沿った自動運転にしようと思ったのだが不測の事態に対応できないこと、データは確実に回収したいことから無線操縦になった 何しろアリスさんがゆっくり人形(というよりぬいぐるみ?)を作るのを嫌がったため、何体も作れない スポンサーは大事にしないといけないのだ 発動機には最近完成してテスト運転中だというゆっくり機関を搭載 これはゆっくりの餡子を燃焼させ、エネルギーを生み出す (実際には違うらしいがにとりさんはその方がわかりやすいと言っていた) 燃料が餡子なので現地調達も可能だ ゆっくり攻撃用として数種類の武装、索敵用にレーダー、ソナー、赤外線カメラを装備している 移動方法はゆっくりと同じ跳躍、匍匐前進、及び飛行用にホバリング用ジェットエンジンを装備 これは崖からの転落時を想定したものだ ただ、遠い山奥までゆっくりのスピードで跳ねて行くわけにはいかないので天狗のサポート用ラジコン飛行機が空輸する 無線操作可能な施設は幻想郷と天狗の山にあるがその範囲外での活動には移動式中継所を使うかサポート用ラジコン飛行機に中継させる 何んとも無駄に大掛かりな研究だが所長がゆっくりロボに興味を示してくれたこと、永遠亭が協力してくれたため実行に移すことができた 第一次調査は明日から行われる、今日は早く寝よう あのゆっくりロボは私と河童にしか扱えないのだ 続く どうも、セインと申します 何んとも無駄に長い前置き 次回から少しずつ調査と虐待を続けていきます このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1804.html
ゆっくり大家族クイズ ゆっくりれいむ家族はピクニックに出かけました。 「このあたりがゆっくりプレイスだね!」 「ゆっくち!ゆっくち!」 「おかーしゃん!」 「ゆっくちさせちぇね!」 「ゆぅ~~~ゆぅ~~~」 その時、空から透明な箱が降ってきました。 お母さんれいむは大きな箱に、赤れいむ達 はそれぞれ小さな箱に閉じ込められてしまいました。 「ゆゆ!どうしよう」 「おかーしゃん!でれないよー!」 「ゆっくりできなぃよー!」 「おかーしゃん!たすけてよー!」 「おやおや、罠をしかけておいてよかったよ。親子合わせて6匹も捕まえられるなんて」 「ゆゆぅ!?まさかおにいさんのせいなぉぉ?」 「そうだよ!このあたりは僕の管轄地なんだ!」 「いみがわからないよぉ!?はやくここから出してね!」 「ん?出してあげないよ?」 「ひどいよ!?おにいさんしんでね!」 「おぉこわいこわい!そこからでれないくせに、でもクイズに勝ったら出してあげるよ」 「ほんとう?ゆっくりしないでクイズだしてね!」 「はいはい、じゃあ問題を出すよ。」 「ゆぅ~・・・」 「第一問!ゆっくり出来るのはどれでしょう?」 「1 ランニングマシン 2チェアー 3 ベット 10秒以内に答えないとね。」 「わからないよぉぉぉぉぉぉぉぉぉひんとぉぉぉぉ」 「おかーしゃんたしゅけちぇよぉ!」 「ゆぅー!ゆぅー!」 「3・・・2・・1・・・」 「残念!じゃあ一匹殺すね。」 おにいさんは赤れいむを閉じ込めた透明の箱ごとハンマーでぶったたきました。 「ゆぉわわっわわ~~~ぐぅぇー~~~~」 「さぁ、第2問だよ。」 「こわいよぉぉぉぉ!もうやめてよぉぉぉ!」 「おやおや?子供を助けたくないのかい?見殺しにするなんて最低だな。」 「おかーしゃん!おかーしゃん!」 「たすけちぇー!たすけちぇー!」 「どうするのやるのやらないの?」 「ゆぅーーー」 「じゃあ出すよ。おっと、ボーナス問題だね!正解したら2ポイントだ」 「2ポイントっていみわからないよ!さっさとだしてね!」 「第2問!ゆっくり出来るのはどれでしょう?」 「1 ランニングマシン 2チェアー 3 ベット」 「・・・3にするよ!」 「ほんとうにそれでいいのかな?」 「ゆっくりしないでね!さっさとやめてね!」 「残念!不正解!」 「!こんなのむりだよぉぉ~~やめてよぉ~~」 「おかーしゃん!たすけ・・・ぐちゃ!!」 「ぐちゃ!!」 「2ポイント問題だから2匹殺したよ。がんばらないと駄目だよ。」 「ゆぅ~~~ゆるしてよぉ~~~おねがぃだよぉぉぉぉぉ」 「はいはい。第三問ゆっくり出来るのはどれでしょう?」 「1 ランニングマシン 2チェアー 3 ベット」 「ゆぅ~~~さっきとおなじだよ!?2にするよぉぉぉぉぉ」 「残念!不正解!」 「まったくハンマー振り上げるのも疲れるぜ!よいしょっと」 「ぐちゃ」 「ゆゆゆゆうゆゆゆーーーもううやべてぇぇぇ!」 「なんだつまんないな。あと一匹しかいないじゃないか」 「ほーら最後なんだからがんばれよ」 「おかーしゃん!!!!!おねぇちゃんがみんなぁぁぁっぁぁぁ」 「声援も聞こえてきた所でラスト問題!ゆっくり出来るのはどれでしょう?」 「1 ランニングマシン 2チェアー 3 ベット」 「1しかのこってないよ!さっさとここからだしてね!」 「ほんとうにいいのかな?」 「ふふーんところがどっこい不正解!」 「ゆっ!?」 「おか・・・ぐちゃ!!」 「うそつき!ゆっくりしないでさっさとしんでね!おにいさんしんでね!」 「おぉこわいこわい!クイズに不正解だったのに」 「あれ?もう残りがいないじゃないか。」 「いみがわからないよ!はやくここからだしてよ!」 「うんとね、残りがいなくなったらゲームオーバーだよ!」 「でっかい箱だなー… がしゃーーん ぐちゃ!!!」 「ふぅ いい汗かいたぜ。」 ・・・「ゆぅーーゆぅー」 「なんだまたなんか引っかかったのか。今日は忙がしいな」 終わり。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2302.html
前 一方、秘密兵器のニトロを携えた南小学校の二人はジャンプ力に優れたゆっくりが多く捕獲できる秘密の狩場に到着していた。 「ここかぁ・・・確かにここだとかなり良いゆっくりが捕まえられそうだね」 「だろ?きつい斜面になってるから普通に生活してるだけでジャンプ力が付くんだよ」 「だろうなぁ。そっか、うちの近所は平地だからイマイチなゆっくりしか居なかったんだな」 「そうそう、レースに勝つにはカスタマイズ以前に素材をちゃんと選ばないとだめなんだよ」 「勉強になるわ~」 「この中腹辺りに湧き水と開けた場所があってその周辺にゆっくりがいっぱい住んでるんだよ」 二人は斜面を登って行った。そしてその開けたところに来ると先ほどのスーパーで買ったバター醤油味のポップコーンを出した。 これは安さと量、そしてゆっくりたちをおびき寄せる香ばしい匂いの強さで子供達のゆっくり狩りの定番撒き餌である。 少年は袋を開けて数口つまみ食いをすると袋を逆さまにして全てをその広場の中心に盛り上げた。 二人はその白い小山が見える藪に身を潜めてゆっくり達が集まってくるのを待った。ゆっくりは10分とせずにあらわれた。 普段は山で草や虫を食べている野生のゆっくりにとってあまりに甘美なその匂いは強烈な誘引力を持っていたようだ。 『ゆゆ?これが匂いのもとだね?』 偵察役と思しき成体まりさがポップコーンの山に近づき一口食べた。 『ゆー!!すごくおいしいよ!』 ぴょんと飛び跳ねたまりさは後ろを向いて家族を呼び寄せた 『わぁい!ごはんごはんー!』 『すっごくきれいだね!まっしろだよ!』 『れいみゅもたべりゅー!』 『ゆっくちゆっくち!』 ぴょんぴょんと現れたのはつがいと思われるれいむと子れいむ3匹、子まりさ2匹。どれも惚れ惚れするジャンプ力だ。 「おい、つかまえようぜ!すげえジャンプ力だな。これにニトロをあわせれば学校で最速だぞ!」 「ちょっと待て。この辺ほんと巣が多いからまだまだ集まってくる」 「ポップコーンなくなっちゃうじゃんよ!食い終わったら巣に帰っちゃうよ!」 「あわてるなって。まだ一袋あるだろ。」 「でもよ~う・・・」 『む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~♪』 『うっめ!これむっちゃうっめ!』 『む~ちゃ、む~ちゃ、ちあわちぇ~♪』 ゆっくり一家は初めて食べると思われる人間の食べ物の旨さに感動しぽろぽろと涙をこぼしながらがっついていた。 すると突然近くの藪がガサガサと揺れたかと思うと若いまりさ2匹にれいむ1匹の連れが現れた。 3匹はみな目つきが鋭くゲス掛かっているように見えた。しかしそうだからこそ動きはなんともエネルギッシュである。 『ここはまりささまのゆっくりプレイスなんだぜ!』 『れいむたちのごはんをとるなんていいどきょうだね!』 『ゆっくりしね!ゆっくりしね!』 3匹はその身体能力を誇示するように驚くほどのジャンプ力を見せ付けてぴょんぴょんと飛び跳ねた。 狩場を見つけた少年はこういうゆっくりが来るのを待っていたのだ。5匹の子供を守るためにその3匹を睨み付ける夫婦2匹。 計10匹のゆっくりが集まった。喧嘩が始まってしまうと怪我が残りレースでのスピードに影響が出る。 一番勝てる素材を手に入れられるのは今だと踏んだ少年は藪から飛び出して叫んだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 『『『ゆっくりしていってね!!!』』』 10匹が一斉にこっちを向き本能的に言葉を返した。 「それ、おいしいだろ?」 『すっごくおいしいよ!だからあげないよ!』 『おにいしゃんもこのちろいごはんをとりにきちゃの!?』 『ここはれいむのおうちだよ!ゆっくりできないひとはでていってね!』 ピリピリした空気の中に現れた新たな存在に敵意を向けるゆっくりたち。 しかし少年がもう一袋のポップコーンを取り出し袋を開けるとパッと表情が変わった。 「みんなで仲良く食べようよ!ほら、まだいっぱいあるからさ」 『ゆゆー!おにいさんありがとう!!』 『はやくよこせなんだぜ!』 『おにいしゃんはゆっくぃしちぇるにぇ!』 『わぁい!ちろいごはんいっぴゃいありゅ~!』 少年はポップコーンをポイポイと投げ与え、自分でも食べながら捕獲活動を開始した。 「俺んちにはこんな美味しいものがいっぱいあるんだ。」 「あ、俺んちにも俺んちにも!お前ら俺たちのうちに来ない?」 「この袋に入ったら連れてってあげるよ」 『よこせ!それよこせ!』 『はやくつれていってね!』 『ゆっくりしないではやくつれていってね!』 スーパーのレジ袋を地面に置くと目当てのゲス3匹が先を争って入ってきた。捕獲成功である。 するとまた藪がガサガサ言い出した。しかし今度あらわれたのはゆっくりではなく人間の子が二人、北小学校の子らである。 そう、この斜面は低地の南小学区と高台の北小学区を隔てる斜面なので北小の子らにとっても優れたゆっくりを捕まえる狩場なのだ。 しかも基本的に土地を所有してるのは北小の子らの家族なので彼らにとっては南小の子らは侵入者に他ならない。 「お前らなにやってんだよ。ここ俺のおじいちゃんの山だぞ!」 「なにって、ゆっくり捕まえてんだよ。見りゃ分かるだろ。」 「おじいちゃんの山なんだからそのゆっくりは俺達のだぞ!置いてけよ!」 「やだよ!俺達が買ってきたポップコーンで捕まえたんだから俺達のゆっくりだよ!」 「お前らにやるくらいなら殺してやるよ!」 そういうと北小の二人は残されてオロオロしていたゆっくり一家を次々と踏み潰し始めた。 『ゆぎゃあああ!!!』ぶちゅ! 『だずげでぇぇぇぇ!!!!』グシャ! 『おにいざんだずげ・・・』バン! 『ゆっきゅ・・』『ゆ・・』プチプチプチ! 飛び散る親まりさの餡子が子供達の顔にかかる。そのショックに固まってる子らが連続して踏み潰される。 さっきポップコーンをくれた南小の子らに必死で助けを求めて駆け寄ろうとするも目の前で踏み潰される親れいむ。 「あぁ~もったいね~・・・」 「何やってんだよこいつら・・・」 「なー。この家族も結構速そうだったのに・・・」 呆然と成り行きを眺める南小の二人。袋の3匹は恐怖に慄き無言でブルブルと震えていた。一家を殲滅すると北小の少年は言い放った。 「その袋に入ってるのは見逃してやるよ。貧乏人にはポップコーン代も惜しいだろうからな。」 「でも今後一切この山のゆっくりには手を出すなよ!」 「分かったらさっさと出てけ。今から俺らカスタマイズしたゆっくりの登坂力テストするんだよ。」 「お前らと違って改造も金が掛かってるからな。お前らとは次元が違うんだよ。邪魔だからさっさと帰れ。」 さすがにカチンと来た南小の二人は北小に戦いを挑んだ。 「ちょっと待て!お前ら調子こいてんじゃねえぞ!」 「そうだそうだ!カスタマイズの腕なら俺らのほうがぜってー上だ!」 「今すぐ勝負しろ!俺らのほうが絶対速いって証明してやる!」 「はぁ?何言ってんだよ。その3匹はさっき捕まえたばっかだろ?」 「ち、ちがう!お前らが来る前にもうこの3匹ともライトチューンを施してんだよ!」 ニトロのことである。これはゆっくりではなくラー油をチューンするケミカルチューンなので即効性がある。 テスト用に既に濃さを色々変えたラー油をスーパーの駐車場の片隅で作った少年らはその加速力に自信を持っていた。 「へ~。じゃあ勝負してやろうじゃねえか。負けたら今後一切この山には入るなよ。」 「南小チューンのすごさを見せ付けてやんよ!ヒルクライムで勝負だ。あの立ち木まででいいな?」 「おっしゃ。2本先取の3本勝負な。んじゃ掛かって来いよ。」 南小レーサーズはスーパーのレジ袋から一匹まりさを取り出すとゴールに向けて地面に置き左手で押さえつけた。 北小レーサーズはレーシーなカーボンファイバー製の空調付きゆっくり専用トランクかられいむを取り出すと地面に置いた。 そのれいむを見て南小の二人はギョッとした。公平に同サイズのをぶつけてきたのだが明らかに向こうのゆっくりは皮が厚い。 レース用に選び抜かれ鍛え抜かれた特別に瞬発力に優れた固体であるのは一目で明らかだった。 『ゆゆ?おにいさんたちなにをしてるの?はやくおうちでしろいのたべようよ・・・』 まりさは恐怖で若干しおらしくなったがまだ状況は飲み込めてないようだ。さすがは餡子脳。 最初はまだニトロの濃さが分からないのでワサビを一掬いだけ混ぜた薄ニトロラー油で勝負だ。 「3!2!1!・・・」プスッ!2匹のゆっくりの尻に数秒でゆっくりを死においやるラー油が一気に注入された 『『ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!』』極限の激痛にラー油殺し特有の悲鳴とホイールスピン現象が起こる 「ゼロ!」左手を離された断末魔のゆっくりは脱兎のごとく斜面を駆け上ってゴールの立ち木に突進して行った。 『ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!』バシャン!先に厚い皮が弾けた。 『ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!』ブシャッ!南小まりさは僅差で敗れた。 北小の1勝に横で見ていた北小のセコンドは飛び上がって喜んだ。しかしラー油を注入した一人はその差の小ささに愕然とした。 何十万もした特注の特訓マシーン。ゆっくりを鍛えるために回しっ放しなのでそれなりに電気代も食っている。それでこの差か? 南小は一本目の走りを見てここのゆっくりならもうちょっと濃くてもゴールまで死なずにもつと確信した。 そこで二本目の勝負はワサビをこれまでの限界を超えて3掬い入れたラー油を使う事にした。 レジ袋からこんどはれいむを取り出すと地面にセットして押さえつけ注射器をあてがった。 『まりさはどこにいったの?おうちかえったの?さっきのこえはなぁに?』ブルブル震え上がり目には涙を浮かべている。 北小はトランクを漁ってサイズの合う同クラスゆっくりを探している。トランクの厚みでさっきの悲鳴は聞こえなかったようだ。 何か遊びにでも連れて行くと吹き込んでいるようでしきりに外に出たがっている声が聞こえる。 のん気なものだ。この直後にゆっくりにとって最も苦しい死に方とされるラー油注射で殺されるというのに。 『ゆー!おそとであそびたいー!』 『ここからだしてね!おそとであそばせてね!』 『おそとがいい!おそ・・・』バタン! 北小が出してきたのはまたもやれいむだった。挑発的である。同じれいむをぶつける事で自分達のカスタマイズの 優秀性を見せ付けてやろうという魂胆が見えた。確かに普通に走らせたら勝ち目は無いだろう。 鍛え抜かれたその皮の張りは今そこで拾ったばかりの南小のれいむとは比べ物にならなかった。 しかし南小には秘密のニトロがある。カウントダウンと共にこれまでに無い濃さのニトロラー油が注射された。 『ゆぎいいぎゃぎぎゃぎぎゃぎぎゃぎ!!!!!』違う!ホイールスピンの悲鳴、振動の度合い、全てが桁違い・・・これは勝てる! 『ゆぎゃぎぎゃぎぎゃぎぎゃぎぎゃぎ!!!!!!!!!!!!!』ブシャッ!南小の勝利!餡子は通常の2倍は飛び散っただろう。 『ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!!』バシャン!鍛え抜かれた厚い皮のれいむが遅れて衝突。北小の二人の表情が凍った。 レジ袋に最後に残されたまりさを取り出すとあまりの恐怖に若干幼児退行を起こしているようだった。 『まりしゃきゃえりゅ~!もうおうちきゃえりゅ~!うわああああん!』じたばたじたばた うぜえ!果てしなくうぜえ!こっちはそれどころじゃないのだ。1勝1敗のラスト、次の勝負はどうしても勝たなくてはならないのだ。 ここで禁断のスペシャルカスタム、まだテストもしてないアレを使う事にした。そう、ハバネロである。 世界一の辛味はゆっくりにとって世界一の激痛。痛めつければ痛めつけるほど痙攣は激しくなり断末魔ダッシュは加速する。 お前は俺達が勝つための道具だ。苦しめ!喚け!激痛の悲鳴を上げて史上最高の苦しみを味わって死ね!それが俺達の勝利になるのだ。 そんな事を思いつつふと北小の方を見た南小の二人は再度ギョッとした。 「な、なんだよそのゆっくり?」 「ありすだよ」 「ありす~?ってお前、それツルッパゲじゃねえか!」 「風の抵抗を減らすために俺が考え出した究極のカスタマイズだよ!」 「南小じゃ見たことねえな・・・。それって効果、あるのか?」 「理屈上はあるはずだよ!」 北小の二人も必死である。共にまだテストした事すら無い究極のスペシャルカスタムをこの決勝に出してきたのだ。 『うあああん!まりしゃしにちゃくにゃいよぉぉ!たしゅけてえぇぇ!もうしりょいごはんいりゃにゃいかりゃあああ!』 『ま、まりさ、どうしたの?ありすがなぐさめてあげてもよくってよ?』馬鹿が。死ぬまで言ってろ。ってお前の寿命はあと数秒だがな。 「3!2!1!」最終レースのラー油が一気に注射されて盛大なホイールスピン現象が起こる・・・・はずだった。 「あれ?あれ?ちょっとタンマ!タンマ!」勝負を止めたのは南小だった。 「あぁ!?何?ちょ!おせえよ馬鹿!」北小はもう注射してしまったようだ。 『ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!』ハゲありすはゴールの立ち木に向かって1匹で突進する。 南小の注射器はハバネロの粉で詰まってしまっていたのだ! 一匹で立ち木に向かって突っ走るハゲありすもイレギュラーな動きを見せていた。 どうやらこの断末魔にあって自分の起こすホイールスピン現象の振動で発情してしまっていたようだ。アホである。 立ち木の手前でフワッと浮かぶトリッキーな軌道を描いたと思うとゴール地点の根元にあるまりさの餡子に自身を叩き付けた。 『ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!!!』ゴールの直前だというのに木に向かわず地面の餡子に己をめり込ませるハゲありす。 『ゆぎゃぎゃ!!!・・・ゆぎゃ!・・・ゆ・・・ぶほっ!!!!』そのまま餡子を吐いて絶命してしまった。 一方の南小のまりさだが、注射器が詰まってしまったとはいえ数滴分のラー油は体に入ってしまったようだ。 仰向けにひっくり返りミスファイヤリングシステムのラリー車エンジンのようにイレギュラーな悲鳴を爆発させていた。 『ゆぎゃっ!ゆぎゃぎゃぎゃ!っっっぎゃぎゃぎゃ!ゆぎゃっ!!!』 その悲鳴が出るたびに痙攣するコメツキムシよろしく背中だけでバッチンバッチンと微妙に跳ね上がってる。 ラー油注射という究極の激痛を与えられつつそれがギリギリ致死量に達するか達しないかの境界で激しい痙攣を起こしているのだ。 4人の少年達はまりさが仰向けで目をひんむき苦しむのを取り囲み呆然と眺めていたが、そこで一人がプッと噴出した。 「何このまりさの顔!超笑えね?」 「ププッ超笑える!」 「ギャハハハハ!おもれえええええ!変な顔!」 「可愛い可愛い!ギャハハハハハハハ!」 そこには北小も南小もなかった。ゆっくりドラッグを心から楽しむ4人の少年の姿があるのみである。 「てかよー、お前捕まえてすぐのライトチューンであそこまで速く出来るんだろ?すげえな!」 「この山のゆっくりが丈夫で俺の改造についてこれたからだよ。この山のゆっくりってすげえな!」 「なんかハゲありすもゴールしなかったしこのまりさもこんなだしこの勝負は引き分けだな」 「そうだな。まぁ楽しかったから良いよ」 「またこの山遊びに来いよ。お前スゲエから何か許す」 「おう、サンキューな。また遊ぼうな」 「じゃあね!」 「またねー!」 ゆっくりドラッグを通じて友情を紡いだ4人が去ると山にはまた静寂が訪れた。 ただ一匹、仰向けに倒れたまま全身の激痛で痙攣し続ける幼児退行まりさを残して。 『ままぁ・・・たしゅけて・・・ゆぎっ!・・いちゃいよぅ・・・ゆぎゃぎゃ!・・・だりぇか・・・・』 まりさはボロボロと涙をこぼしながら不定期に痙攣を繰り返し蚊の鳴くような声で助けを呼び続けた。 ここまで弱ってしまってはゆっくりドラッグでは使い物にならない。子供にとっては壊れてしまった玩具。放ったらかしである。 そのまま3時間激痛と闘い、夜の帳が下りるころ苦しみながら息を引き取った。 『もっちょ・・・ゆっくい・・・・・しちゃ・・か・・・・・・・・ぶほっ!」 青白い月の光が目も口も半開きのまま誰にも顧みられず絶命したゆっくりまりさの骸を照らしていた。 ====================================================================== 読んでくれて有難うございました。普段は絵師してます。 ポスタルパークや最近だとタイマーで電撃与える全自動虐待機と描いてたやつです。 漫画のプロット考えてたら単なる落書き遊びというにはあまりにプロットが肥大化したんで SS化しました。ゆっくりSSは処女作って事になりますね。ツボにはまりましたら設定は ご自由にお使い回し下さい。一応自分でもゆっくりドラッグの遊び方の図解くらいは 描こうかなと思ってます。描かないかもしれないけどw このSSに感想を付ける